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 昭和39年版 犯罪白書 第四編/第一章/三/1 

三 少年の補導と処分の概況

1 少年警察

 犯罪や非行に陥った少年を検挙したり補導したりする第一線の活動は少年警察である。
 少年警察は,少年非行防止のために専門化された警察組織の総称であって,各都道府県警察本部,各警察署に少年のための専門の課や係が設けられて,非行少年対策のいわば窓口になっているが,そのほか,一般の警察官も,少年犯罪の捜査ばかりでなく,広く非行の防止に協力している。
 警察活動の中でも重要な任務は,少年非行の早期発見であって,少年の非行危倹性その他の調査の結果,これを選別して関係機関に通告もしくは送致をする。また,警察かぎりの措置として,家庭,学校,職場などへの必要な連絡,注意,助言などを行なって,非行の防止をはかるばかりでなく,青少年の健全育成に資するような活動を任務としている。
 ところで,昭和三七年において,少年警察の対象となった非行少年の総数は約二〇〇万人に達し,このうち犯罪少年および特別法犯少年が約一〇〇万人,触法少年が約六万人,ぐ犯少年が約九三万人におよんでいることはすでに述べたとおりである。
 これらの少年に対する処理の実態を,昭和三七年の統計によってみると,IV-27表のとおり,刑法犯を犯した犯罪少年については,総数一六二,七七三人のうち一六二,一八七人,すなわち九九・六%が検察官に送られ,四九九人すなわち〇・三%が直接に家庭裁判所に送致されている。触法少年については六〇,四九八人のうち,その約五八%にあたる三四,八九八人が児童相談所に通告されたほか,約四二%にあたる二五,六〇〇人に対しては,警察かぎりの措置がとられていゐ。さろに,ぐ犯少年については,九三二,一八八人のうち五,四六四人(〇・六%)が家庭裁判所に送致され,六,一九七人(〇・七%)が児童相談所に通告されているが,九八・七%にあたる九二〇,五二四人が警察かぎりの補導を受けている。

IV-27表 非行少年の警察における処理別人員と率(昭和37年)

 このように,多数の非行少年が警察かぎりの措置,すなわち警察補導にゆだねられている現状は,いかに少年警察が少年非行対策に重要な役割を果しているかを示しているものであって,その成果には重大な関心を寄せなければならない。