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 昭和39年版 犯罪白書 第三編/第一章/四/5 

5 教育活動

 受刑者の教育は,入所時(オリエンテーション・プログラム)および出所時教育,教科指導(不就学者,義務教育未修了者に対して実施),通信教育(III-34表)宗教教かい(III-35表36表),社会教育(職業指導,各種グループ活動,社会見学など),体育・レクリエーションの指導,読書指導(看読図書および法務省当局の発行する被収容者向の「人」「こころ」「港」による),篤志面接委員制度(III-37表)などの活動を中心にして行なわれている。しかし,わが国の受刑者の処遇は,作業に中心がおかれており,これらの教育活動は,作業時間外に行なわれているため,所期の成果をあげ得ないうらみが少なくない。

III-34表 受刑中の通信教育受講許可人員(昭和36,37年度)

III-35表 新受刑者の信教別(昭和33,37年)

III-36表 宗教教かい希望人員と率(昭和34,38年)

III-37表 篤志面接の内容別実施回数と率(昭和37,38年)

 昭和三七年新受刑者の学歴(III-33表)をみると,中学卒業以上のものの占める割合は,六八・五%(昭和三六年六二・五%,同三五年六〇・六%,同三四年五九・六%,同三三年五三・七%)であること,その半面,読み書き不能者の数が減少していること(昭和三七年二四一人,同三六年三二二人,同三五年三九八人,同三四年五五二人,同三三年六四五人)が目だっている。しかし,義務教育未修了者が,なお新受刑者の三分の一を占め,同教育修了者といっても,形式的な修了者が少なくないと思われるので,少なくとも受刑者の半数については,社会適応性と結びつけた教科教育,社会教育および生活指導の必要性が認められる。

III-33表 新受刑者の犯時学歴別人員と率(昭和37年)

 宗教に対する関心についてみると,III-35表によって明らかなとおり,無信仰者の割合が,昭和三七年には,昭和三三年の二倍近くに増していること,信仰をもっているものについてみると,既成宗教のものが減少して,その他のもの,すなわち新興宗教のものが増加していることが目だっている。
 昭和二八年に発足した篤志面接委員制度は,現在一,〇〇一人の民間篤志家の協力を得て,昭和三八年一年間に五,七五八回の来訪があり,集団面接二,七二七回,個人面接七,八三七回が行なわれた。その内容は,III-37表のとおりで,前年に比較し,精神的はんもんが減少し,教養や職業相談が増加している。