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最近五年間の主要特別法犯の検挙人員数の推移をみると,I-19表のとおりである。
I-19表 主要特別法犯検挙人員推移(昭和34〜38年) この表に掲げた特別法犯のうち,麻薬関係犯罪および風俗犯罪については本編第三章において,交通事犯,選挙犯罪,外国人関係犯罪については本編第四章において,それぞれ説明する。したがって,ここでは以上の各種犯罪を除いた法令違反について,その概略を説明することとする。まず「暴力行為等処罰ニ関スル法律」違反であるが,昭和三五年に一時減少したが翌三六年以後逐年増加し,昭和三四年を一〇〇とすると,昭和三七年は一二四,昭和三八年は一三二という指数を示すに至っている。 なお,同法違反の検挙人員数を違反の態様別にみると,I-20表のとおりであり,集団的な暴行,脅迫,器物損壊がその大部分を占めている。なお,この犯罪の性質は刑法犯の暴行,脅迫,器物損壊と同じであるから,個々の行為だけをみると,殺人,傷害,恐かつのような犯罪よりは一般の犯情は軽いともいえるが,集団的である点において特徴的な暴力犯罪といえるのである。 I-20表 暴力行為等処罰ニ関スル法律違反検挙人員(昭和34〜37年) 次に,決斗罪であるが,これは前掲I-19表にみるように,その数がきわめて少ないので,昭和三八年に大幅な増加を示したことは注意を要するとしても,なおしばらくその推移をみまもるべきであろう。次に,銃砲刀剣類等所持取締法違反であるが,同法違反が毎年相当な増加率を示していることは見のがしてはならない。同法違反の大部分は,同法第三条違反の所持犯であるが,その所持する銃砲刀剣の種類別にみると,I-21表のとおりである。 I-21表 銃砲刀剣類等所持取締法第3条違反の検挙人員(昭和34〜37年) この表によると,刀剣類は漸次減少しているにもかかわらず,銃砲類は年年増加しており,特に猟銃とけん銃の増加が目だっている。ただし,ここで注意しなければならないのは,空気銃の増加であり,この空気銃の違反は少年に多くみられ,暴力団とはあまり関係が深くないという点である。なお,右三法律違反の検挙人員を年齢別に区分する資料がないので,これら三つの法律違反で昭和三七年に全国検察庁が処理した人員を受理時の年齢によって区分してみると,I-22表のとおりであり,少年がその四六%を占め,これに二〇才以上二五才以下の者を加えると実に七四%を占めるに至っている現状は,青少年犯罪対策上考慮を要する問題であろう。 I-22表 既済事件受理時年齢調べ(昭和37年) 次に暴力犯罪とまではいえないにしても,これに近似した性質をもつ軽犯罪法違反,酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律違反の検挙人員も逐年増加しているが,比較的軽微な犯罪とはいえ,このような小暴力事犯の増加は,直接国民の日常生活に影響するところが大であるから,その取締りの強化とともに,予防対策の強化という点にもいっそうの配慮がなされねばならない。 |