前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
3 新入院者の特質 (1) 入院時の年齢 4-2-4-4図は,昭和49年以降の30年間における少年院新入院者の年齢層別構成比の推移を見たものである。昭和49年に過半数を占めていた年長少年の比率は,その後緩やかに低下し,平成11年から13年までは中間少年の比率が年長少年をわずかに上回っていたが,14年に再び逆転し,15年においても年長少年が中間少年をわずかに上回った。
4-2-4-4図 少年院新入院者の年齢層別構成比の推移 平成15年における新入院者の入院時の年齢を男女別に見ると,男子では,18歳(25.1%),17歳(23.2%),19歳(19.7%)の順となっているのに対し,女子では,16歳(20.9%),18歳(18.9%),17歳(18.5%)の順となっており,男子と比べ,女子の方が低年齢で収容される比率が高い(矯正統計年報による。)。(2) 非行名 4-2-4-5図は,平成15年における新入院者の非行名別の構成比を,男女・年齢層別に見たものである。男子では,すべての年齢層で窃盗の構成比が最も高く,次いで,年少少年では,傷害・暴行,強盗,恐喝の順,中間少年及び年長少年では,道路交通法違反,強盗,傷害・暴行の順となっている。これに対し,女子では,年齢層が上がるに従って,虞犯の構成比が低くなる一方,覚せい剤取締法違反の構成比が高くなり,年長少年では,同法違反がほぼ半数を占めている。
4-2-4-5図 少年院新入院者の男女・年齢層・非行名別構成比 4-2-4-6図は,平成6年以降の10年間における新入院者の非行名別構成比の推移を見たものである。窃盗の比率は,緩やかな低下傾向を示していたが,13年以降上昇に転じている。近年低下傾向を示していた覚せい剤取締法違反については,15年も人員・比率ともに前年を下回った。強盗は,8年以降増加傾向を示しており,15年の人員は前年よりも65人増加している。4-2-4-6図 少年院新入院者の非行名別構成比の推移 (3) 保護処分歴 4-2-4-7図は,平成15年における新入院者の保護処分歴別構成比を男女別に見たものである。少年院初入者は,男子では83.0%,女子では91.3%を占めている。また,男子では保護処分歴のある初入者が全体のほぼ半数であるのに対して,女子では保護処分歴のない初入者が全体の6割弱を占めている。
4-2-4-7図 少年院新入院者の男女・保護処分歴別構成比 4-2-4-8表は,平成6年以降の10年間における新入院者について,前回処分(審判不開始・不処分等,保護処分以外の処分を含む。以下同じ。)から本件非行までの期間を見たものである。前回処分がある者は総数の7割台で推移している。前回処分がある者について,本件非行までの期間別の構成比を見ると,おおむね7割が前回処分後1年以内の再非行によって少年院入院に至っている。4-2-4-8表 少年院新入院者の前回処分後の本件非行までの期間 (4) 不良集団関係,共犯者 4-2-4-9図は,平成15年における新入院者の不良集団関係別構成比を,男女別に見たものである。不良集団に関係のある者が,男子では6割弱を占めているのに対して,女子では半数以下となっている。その内訳を見ると,男子では暴走族が地域不良集団と同程度に高い比率を示しているのに対して,女子では暴走族の比率が男子と比較して低く,暴力団の比率が男子よりも高い。
なお,新入院者全体の不良集団関係別構成比の推移を見ると,昭和63年までは不良集団に関係のある者は半数程度であったのが,平成元年からは6割前後で推移している(矯正統計年報による。)。 4-2-4-9図 少年院新入院者の男女・不良集団関係別構成比 4-2-4-10図は,平成15年における新入院者の共犯関係別構成比を,男女別に見たものである。単独犯の比率及び2人共犯の比率は,女子の方が高く,男子は,3人以上の共犯の比率が高い。共犯者の種類は,男女とも遊び仲間の比率(男子40.8%,女子33.7%)が最も高く,次いで,不良集団の比率(男子22.1%,女子7.2%)が高い(矯正統計年報による。)。 4-2-4-10図 少年院新入院者の男女・共犯関係別構成比 (5) 教育程度,有職・無職の別 4-2-4-11図は,平成15年における新入院者の教育程度別構成比を男女別に見たものである。男女ともに,中学卒業の比率が最も高く,次いで,高校中退の比率が高い。
4-2-4-11図 少年院新入院者の男女・教育程度別構成比 4-2-4-12図は,平成15年における新入院者の学職別の構成比を男女別に見たものである。新入院者全体では,無職が46.0%を占め,有職は31.9%にとどまる。男子と比べ,女子は,無職及び学生・生徒の比率が高く,有職の比率が低い。4-2-4-12図 少年院新入院者の男女・学職別構成比 (6) 保護者,居住状況 平成15年における新入院者について,保護者が実父母である者は46.7%(男子47.8%,女子36.3%)であり,前年と比べて,総数で2.0ポイント低下した(矯正統計年報による。)。
4-2-4-13図は,昭和59年以降の20年間における新入院者について,非行時における家族との同居率の推移を見たものである。男女ともに,非行時における家族との同居率は上昇傾向にある。 4-2-4-13図 少年院新入院者の非行時における家族との同居率の推移 (7) 薬物使用関係 平成15年における新入院者の非行名のうち薬物関係事犯について見ると,男子では,覚せい剤取締法違反が1.3%,毒劇法違反が2.0%であるのに対して,女子では,覚せい剤取締法違反が26.5%,毒劇法違反が5.9%であり,女子において薬物関係事犯の占める比率が高い(巻末資料4-12参照)。
平成15年の新入院者について,非行名を問わず,非行時において薬物を使用していた者の比率を見ると,使用していた者は17.1%であり,前年よりも2.1ポイント低下している。男女別に見ると,男子では14.3%であるのに対して,女子では44.8%である。また,薬物使用者について,使用薬物の種類を見ると,男子では,有機溶剤(72.2%)が最も多く,次いで,覚せい剤(16.3%)の順となっているのに対し,女子では,覚せい剤(65.3%)が最も多く,次いで,有機溶剤(33.5%)の順となっている(矯正統計年報による。)。 (8) 外国人 平成15年の新入院者中,外国人で,日本人と異なる処遇を必要とするため,生活訓練課程G2の対象となった者は,43人(男子40人,女子3人)であり,前年よりも1人増加している。国籍別に見ると,ブラジル(36人)が最も多い。非行名別に見ると,最も多いのが強盗(14人,前年7人),次いで,窃盗(13人,前年26人)であり,前年と比べて強盗が増加し,窃盗が減少した。保護処分歴を見ると,保護観察歴がある者が19人,ない者が24人であり,少年院送致歴については,ある者が3人,ない者が40人であった(矯正統計年報による。)。
|