第2節 犯罪被害についての実態調査
1 概説 捜査機関に届けられていない暗数を含め,どのような犯罪が,実際にはどのくらい発生しているかという犯罪実態を把握するための調査が,米国及び英国では定期的に実施されている。 法務総合研究所では,暗数を含んだ犯罪動向等(罪種別の犯罪被害の有無,捜査機関への申告の有無,犯罪に対する不安等)を把握するとともに,犯罪被害実態に関する国際比較を行うため,平成12年に第1回の犯罪被害実態調査を実施した(以下「12年調査」という。)。今回,第2回調査として,国連薬物犯罪オフィス(UNODC)を中心として実施された2004年国際犯罪被害実態調査(International Crime Victimisation Survey:ICVS)に参加する形で,16年2月1日から同月29日にかけて,無作為に選んだ全国の16歳以上の男女3,000人を対象として,質問紙を利用した面談による聞き取り方式等の調査を実施した(以下「今回調査」という。)。 なお,今回調査が12年調査と異なる点としては,個人が犯罪被害に遭った罪種として,新たに恐喝及びひったくりを調査項目として加えたこと,女性の性的暴行被害に関する質問について,調査員による聞き取り方式から自記式調査方式(調査対象者が質問紙に自己記入し,封をした上で,調査員に手渡す方法)に変更したこと,我が国の治安状況に関する認識についての質問を追加したことなどがある。
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