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 平成16年版 犯罪白書 第2編/第1章 

第2編 犯罪者の処遇

第1章 処遇の概要

 本章では,警察等によって検挙された者が,その後,検察,裁判,矯正及び更生保護の各段階で受ける取扱い,すなわち処遇の概要を紹介する(少年については,第4編第2章第1節参照。)。
 2-1-1図は,刑事司法における成人犯罪者の処遇の流れを示したものである。

2-1-1図 刑事司法における犯罪者(成人)処遇の流れ

 警察等が検挙した事件は,微罪処分の対象となるものや反則金の納付があった道路交通法違反等を除き,すべて検察官に送致される。
 検察官は,これらの送致事件について捜査を行うほか,必要に応じて自ら事件を認知し,又は告訴・告発を受けて捜査をすることがある。検察官は,捜査を遂げると,犯罪の成否,証拠の内容,処罰の要否その他諸般の情況を考慮して,事件を裁判所に起訴するか不起訴にするかを決める。
 起訴された事件の裁判は,公判手続による場合と略式手続による場合があり,公判手続による場合は,公判を開いた上で裁判が行われる。公判手続によって有罪と認定された場合は,判決において,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留又は科料が言い渡される。3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金については,情状により,一定期間刑の執行が猶予されることがあり,その場合,猶予の期間中保護観察に付されることがある。略式手続による場合は,簡易迅速な書面審理によって50万円以下の罰金又は科料の裁判が行われる。
 有罪の裁判が確定すると,執行猶予の言渡しのない限り,検察官の指揮により刑が執行される。懲役,禁錮及び拘留は,刑務所,少年刑務所等の行刑施設において執行される。行刑施設では,刑の執行を通じて矯正処遇を行い,受刑者の改善更生と社会復帰を図っている。なお,罰金又は科料を完納することができない者は,労役場に留置される。労役場は,行刑施設に附設されている。
 受刑者は,刑期の満了によって釈放され,社会に復帰するが,刑期の満了前であっても,地方更生保護委員会の決定によって,仮釈放(懲役及び禁錮については仮出獄,拘留については仮出場)が許されることがある(労役場留置についても仮出場制度がある。)。仮出獄者は,仮出獄の期間中保護観察に付される。
 また,売春防止法違反により補導処分に付された成人の女子は,婦人補導院に収容されるが,地方更生保護委員会の決定によって仮退院が許されることがあり,補導期間の残期間中保護観察に付される。
 保護観察に付された者は,保護観察所の保護観察官及び民間の篤志家である保護司の指導監督・補導援護を受けながら,改善更生と社会復帰を目指すこととなる。

●微罪処分(P.113)
 検察官があらかじめ指定した犯情の特に軽微な窃盗,詐欺,横領等の事件については,司法警察員は検察官に送致する手続を執らなくてもよいことになっており,これを微罪処分と呼んでいます。微罪処分の対象とされた事件の内容は,司法警察員から検察官に対して月報として報告されます。