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 平成16年版 犯罪白書 第1編/第1章/第1節/1 

第1編 平成15年の犯罪の動向

第1章 各種犯罪の概況

第1節 刑法犯の概況

1 概説

 平成15年における刑法犯に関する主要なデータは,次のとおりである。ここで一般刑法犯とは,刑法犯全体から交通関係業過を除いたものをいう。
平成15年の主要なデータ(刑法犯)
                             (前年比)
[1] 認知件数
刑法犯           3,646,253件 (47,675件減)( ―1.3%)
うち一般刑法犯       2,790,444件 (63,617件減)( ―2.2%)
うち一般刑法犯(窃盗を除く) 554,600件 (78,027件増)( +16.4%)
[2] 検挙件数
刑法犯           1,504,436件 (71,888件増)( +5.0%)
うち一般刑法犯        648,627件 (55,946件増)( +9.4%)
うち一般刑法犯(窃盗を除く) 214,709件 (25,900件増)(+13.7%)
[3] 検挙人員
刑法犯           1,269,785人 (50,221人増)( +4.1%)
うち一般刑法犯        379,910人 (32,030人増)( +9.2%)
うち一般刑法犯(窃盗を除く) 188,507人 (21,352人増)(+12.8%)
[4] 発生率
刑法犯             2,857件 (42件減)
一般刑法犯           2,187件 (53件減)
一般刑法犯(窃盗を除く)     435件 (61件増)
[5] 検挙率
刑法犯             41.3% (2.5ポイント増)
一般刑法犯           23.2% (2.5ポイント増)
一般刑法犯(窃盗を除く)    38.7% (0.9ポイント減)
                      (警察庁の統計による。)
 刑法犯及び一般刑法犯について,昭和21年以降における認知件数,検挙人員及び発生率の推移を見たものが1-1-1-1図である(巻末資料1-1参照)。

1-1-1-1図 刑法犯の認知件数・検挙人員・発生率の推移

(1) 認知件数及び発生率

 刑法犯の認知件数は,平成8年から7年連続して戦後最多を更新するなど急増を続けていたが,15年は前年と比べて4万7,675件(1.3%)減少し,364万6,253件となった。同認知件数が減少を記録したのは9年ぶりであるが,戦後全体を通じて見ると,なお高い水準にある。罪名別に見ると,窃盗の認知件数が前年と比べて14万1,644件(6.0%)減少しており,これが全体を減少させた大きな要因となっている。刑法犯の発生率もほぼ同様の傾向を示しており,15年は2,857件であった。
 平成15年における刑法犯の認知件数を罪名別に見ると,1-1-1-2表及び1-1-1-3図[1]のとおりであり,窃盗が最も多く,次いで,交通関係業過,器物損壊,横領(遺失物等横領を含む。),詐欺,住居侵入の順となっている。

1-1-1-2表 刑法犯の主要罪名認知件数・検挙件数・検挙人員・検挙率

1-1-1-3図 刑法犯の認知件数・検挙人員の罪名別構成比

(2) 検挙人員

 刑法犯の検挙人員は,平成4年以降増加傾向にあり,15年は126万9,785人で,5年連続で戦後最多を記録した。同年における検挙人員を罪名別に見ると,1-1-1-2表及び1-1-1-3図[2]のとおりであり,交通関係業過が最も多く,次いで,窃盗,横領(遺失物等横領を含む。),傷害,詐欺,暴行の順となっている。

(3) 検挙率

 1-1-1-4図は,「刑法犯全体」,「一般刑法犯」,「窃盗」及び「窃盗を除く一般刑法犯」の別に,最近30年間における検挙率の推移を見たものである。

1-1-1-4図 刑法犯の検挙率の推移

 検挙率は,近年低下傾向が続き,平成13年には,刑法犯全体で38.8%,一般刑法犯で19.8%と戦後最低を記録したが,14年からはやや回復の兆しを見せ,15年は,刑法犯全体で41.3%,一般刑法犯で23.2%となった。これは,刑法犯認知件数の6割以上を占める窃盗の検挙率が,13年以降,15.7%,17.0%,19.4%と回復したことによるものであり,窃盗を除く一般刑法犯の検挙率は,15年も低下傾向が続いている。

(4) 検挙人員の年齢層別構成比

 一般刑法犯の検挙人員について,最近30年間における年齢層別構成比の推移を見ると,1-1-1-5図のとおりであり,社会の高齢化を反映して,60歳以上の者の占める比率が上昇していることが特徴的である。60歳以上の者の占める比率は,昭和49年が2.5%であるのに対し,平成15年は12.2%であり,また,同年において,65歳以上の者の占める比率は7.8%であった。

1-1-1-5図 一般刑法犯検挙人員の年齢層別構成比の推移