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2 裁判における科刑及び保護処分等 (1) 科刑 殺人・強盗に対する第一審における科刑状況の推移を構成比で見たものが,5―6―1―2図である。殺人は,法定刑が3年以上の有期懲役,無期懲役・死刑までと幅広いが,平成5年と14年を構成比で比較すると,執行猶予付き判決は,23.6%から17.1%へ6.5ポイント減,10年以下の実刑が60.8%から55.9%へ4.9ポイント減となっているのに対して,死刑・無期懲役・10年を超える有期懲役の比率は,15.6%から27.0%へと11.4ポイント増となっており,重罰化が進行している。
強盗(強盗殺人・強盗致死傷・強盗強姦を含む。)は,法定刑が5年以上の有期懲役,無期懲役・死刑まで含むが,平成5年と14年を構成比で比較すると,執行猶予付き判決は,15.4%から8.4%へ7.0ポイント減,3年以下の実刑が16.3%から9.6%へ6.7ポイント減となっているのに対して,3年を超え10年以下が62.0%から71.8%へ9.8ポイント増,死刑・無期懲役・10年を超える有期懲役の比率は,6.2%から10.2%へ4.0ポイント増となり,殺人同様に重罰化傾向が進んでいる。この傾向は,起訴された凶悪犯罪の中でも悪質な事案が増加し,検察が厳しい求刑で臨むと同時に,裁判所もより厳しい態度で臨む傾向になったことによるものと思われる。 凶悪犯罪において最も厳しい刑は死刑と無期懲役であるが,その最近10年間の割合は,殺人で0.9〜4.3%,強盗で2.5〜5.0%と全体に占める割合は極めて小さく,最も厳しい刑については,極めて慎重な適用がなされていることを示している。 5―6―1―2図 通常第一審における罪名別科刑状況の推移 (2) 少年に対する保護処分等 殺人・強盗を行った少年に対する家庭裁判所の保護処分等終局処理状況(年齢超過による検察官送致等を除く。)の推移について見たのが,5―6―1―3図である。殺人については,少年院送致の割合が高く,検察官送致も少なくない。処理人員が少ないため年により変動が大きく経年による傾向は判然とはしないものの,少年院送致率が増加傾向にある。強盗については,少年院送致は増加傾向にあり,平成5年と14年とで比較すると,29.6%から44.2%へ14.7ポイント増となり,検察官送致を加えると約半数に至っており,保護処分の厳格化傾向がうかがわれる。これは,送致された少年事件により要保護性の高い少年が行ったと認められる事例が増加傾向にあるためと思われる。
5―6―1―3図 家庭裁判所終局処理状況の推移 |