前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
5―2―4―1図は,殺人・強盗の再犯者率(検挙された前歴を有する者の全体に占める割合)と前科者率(道路交通法違反以外で刑を受けたことのある者の全体に占める割合)を見たものである。
殺人の場合は,成人に関しては,再犯者率で44.9〜58.3%の間を,前科者率で35.3〜50.4%の間をそれぞれ上下しており,昭和62年ころからやや低下傾向にある。少年に関しては検挙人員が少なく年ごとに変動が大きいため一定の傾向を読み取ることは難しい。 強盗の場合は,成人に関しては,再犯者率で54.2〜67.3%の間を,前科者率で40.8〜52.6%の間をそれぞれ上下しており,殺人よりは再犯者率も前科者率も高い傾向にあり,昭和63年ころからやや低下傾向にある。少年に関しては49.6〜63.4%の間を上下しており傾向性は認められない。 昭和60年代以降,成人に関しては殺人・強盗ともに再犯者率・前科者率が低下傾向にあることから,初犯者が殺人・強盗を行う傾向がやや強まりつつあることがうかがわれる。 殺人や強盗のような凶悪犯罪における初犯者の割合の増加は,凶悪犯罪が,犯罪傾向の顕在化した再犯者・前科者グループから,そのような傾向の顕在化していない(あるいはこれまでそのような傾向のなかった)初犯者にまで拡散しつつあることを示唆するものである。 5―2―4―1図 成人前科者率・成人再犯者率及び少年再犯者率の推移 |