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3 新収容者の特質 (1) 入院時の年齢 平成5年以降の10年間における新収容者の年齢層別構成比の推移は,4―2―4―4図のとおりである。5年には過半数を占めていた年長少年の比率は,その後緩やかに低下し,おおむね上昇傾向を示していた中間少年との差が縮小した。11年から13年までは中間少年の比率が年長少年をわずかに上回っていたが,14年においては,再び逆転し,年長少年が中間少年をわずかに上回った。また,年少少年の比率は12年まではほぼ上昇傾向を示していたが,13年は前年に比べて低下し,14年も前年と同じく14%台にとどまった。
4―2―4―4図 少年院新収容者の年齢層別構成比の推移 平成14年における新収容者の入院時の年齢を男女別に見ると,男子では17歳(24.8%)が最も多く,次いで,18歳(24.0%),19歳(20.2%),16歳(18.0%),15歳(9.4%),14歳(3.7%)の順となっており,前年と同順位である。これに対して,女子では17歳(23.1%)が最も多く,次いで,15歳(19.5%),16歳(18.8%),19歳(15.5%),18歳(14.8%),14歳(8.3%)の順となっており,前年に比べて15歳の比率が上昇し,18歳,19歳の比率が低下した(矯正統計年報による。)。(2) 非行名 4―2―4―5図は,平成14年における新収容者の非行名別の構成比を,男女・年齢層の別に見たものである。男女の別に見ると,男子では,窃盗の36.3%が最も高く,次いで道路交通法違反(12.9%),傷害(12.9%),強盗(10.2%),恐喝(9.1%),覚せい剤取締法違反(2.5%)の順となっており,前年に比べて窃盗の比率が上昇しているほか,前年は5番目であった強盗が恐喝を上回って4番目に浮上した。これに対して女子では,覚せい剤取締法違反の32.7%が最も高く,次いで窃盗(16.4%),虞犯(14.8%),傷害(11.4%),強盗(6.7%),恐喝(5.6%)の順となっており,前年に比べて覚せい剤取締法違反の比率が上昇しているほか,前年は毒劇法違反に次いで7番目であった強盗が,5番目となった(巻末資料4―12参照)。
また,男女・年齢層別に見ると,男子では,年齢層が上がるに従って窃盗,傷害の比率が低くなり,道路交通法違反,恐喝,覚せい剤取締法違反の比率が高くなっている。これに対して女子では,年齢層が上がるに従って覚せい剤取締法違反の比率が高くなり,年長少年では過半数を占めているが,虞犯,恐喝の比率は年齢層が上がるに従って低くなっている。なお,強盗については,男女ともに,中間少年の比率が高い。 4―2―4―5図 少年院新収容者の男女・年齢層・非行名別構成比 4―2―4―6図は,平成5年以降の10年間における新収容者の非行名別構成比の推移を見たものである。窃盗については,比率において緩やかな低下傾向を示し,12年には30%台を割ったが,13年,14年と上昇に転じている。また,近年上昇傾向を示してきた暴力的な非行の中でも,傷害・暴行,恐喝については,14年は,前年に比べて若干低下しているのに対して,強盗については,わずかではあるが,人員・比率ともに前年を上回っている。前年に比べて増加が目立つのは道路交通法違反であり,14年の人員は前年よりも98人増えて,ここ10年間では初めて700人を超えた。4―2―4―6図 少年院新収容者の非行名別構成比の推移 (3) 保護処分歴,前回処分関係 4―2―4―7図は,平成14年における新収容者の保護処分歴別構成比を男女別に見たものである。少年院初入者が,男子では82.6%,女子では92.6%を占めている。このうち,保護処分歴のある者は,男子では49.5%,女子では30.5%,保護処分歴のない者は,男子では33.1%,女子では62.1%であり,男子では保護処分歴のある初入者がほぼ半数を占めているのに対して,女子では保護処分歴のない初入者が6割強を占めている。
4―2―4―7図 少年院新収容者の男女・保護処分歴別構成比 4―2―4―8表は,平成5年以降の10年間における新収容者について,前回処分後から本件非行までの期間を見たものである。前回処分がある者は総数の7割から8割台で推移しているが,前回処分がある者について,本件非行までの期間別の構成比を見ると,6か月以内が4割台,同1年以内が7割前後で推移しており,再犯した者のおおむね7割が,前回処分後1年以内の再非行によって少年院収容に至っている。4―2―4―8表 少年院新収容者の前回処分後の本件非行までの期間 (4) 不良集団関係,共犯者 4―2―4―9図は,昭和57年以降における新収容者の不良集団関係別構成比の推移を,5年ごとに見たものである。昭和62年までは不良集団に関係のある者は半数程度であったのが,平成4年からは6割前後で推移している。また,その内訳を見ると,暴走族が上昇し,地域不良集団もおおむね上昇傾向にあるのに対して,暴力組織は低下している。
平成14年の新収容者中,不良集団に関係のある者は58.7%であり,その内訳を見ると,暴走族(26.6%)が最も高く,次いで地域不良集団(25.5%),不良生徒・学生集団(3.6%),暴力組織(3.0%)の順となる。 4―2―4―9図 少年院新収容者の不良集団関係別構成比の推移 4―2―4―10図は,昭和57年以降における新収容者の共犯関係別構成比の推移を,5年ごとに見たものである。平成4年までは4割前後を占めていた単独犯の比率が,9年からは3割余となったのに対して,4人以上の共犯の比率が上昇し,同年からは,単独犯と4人以上の共犯の比率がほぼ拮抗している。また,2人及び3人の共犯の比率については,大きな変化はない。平成14年の新収容者中,単独犯は31.1%,共犯がいる者は68.9%であり,そのうち4人以上の共犯が29.9%,不特定多数の共犯が6.6%となっている。共犯者の種類は,遊び仲間が39.4%と最も高く,不良集団(22.2%)がこれに次いでいる(矯正統計年報による。)。 4―2―4―10図 少年院新収容者の共犯関係別構成比の推移 (5) 教育程度,有職・無職の別 4―2―4―11図は,平成14年における新収容者の教育程度別構成比を見たものである。中学校卒業者の比率が42.1%と最も高く,次いで高等学校中退(34.4%),高等学校在学(10.8%),中学校在学(9.2%)の順となっている。
なお,平成4年以降,高等学校在学者数が増加傾向にあり,4年を100とした指数では14年は403である。 4―2―4―11図 少年院新収容者の教育程度別構成比 4―2―4―12図は,平成14年における新収容者の有職・無職別の構成比を見たものである。無職が48.1%を占め,有職は32.3%にとどまる。なお,無職の比率は前年に比べて0.8ポイント上昇しているのに対して,有職の比率は1ポイント低下している。4―2―4―12図 少年院新収容者の有職・無職別構成比 (6) 保護者,居住状況 平成14年における新収容者について,保護者が実父母である者は48.7%(男子49.6%,女子39.7%)であり,前年に比べて,総数で1.5ポイント低下した(矯正統計年報による。)。
4―2―4―13図は,昭和58年以降における新収容者について,保護者との同居率の推移を見たものである。男女ともに同居率は上昇傾向にあり,平成14年には,男子では81.0%,女子では62.5%が,保護者と同居している。 4―2―4―13図 少年院新収容者の保護者との同居率の推移 (7) 薬物使用関係 平成14年における新収容者の非行名のうち薬物関係事犯について見ると,男子では,覚せい剤取締法違反が2.5%,毒劇法違反が1.9%であるのに対して,女子では,覚せい剤取締法違反が32.7%,毒劇法違反が5.1%であり,女子において薬物関係事犯の占める比率が高い(巻末資料4―12参照)。
平成14年の新収容者について,非行名を問わず,非行時において薬物を使用していた者の比率を見ると,使用していた者は19.2%であり,前年よりも1.6ポイント低下している。男女別に見ると,男子では16.2%であるのに対して,女子では48.7%となっている。また,使用薬物の種類を見ると,男子では有機溶剤(11.2%)が最も多く,次いで覚せい剤(3.4%)の順となっているのに対して,女子では覚せい剤(34.1%)が最も多く,次いで有機溶剤(14.1%)の順となっている(矯正統計年報による。)。 (8) 外国人 平成14年の新収容者中,外国人で,日本人と異なる処遇を必要とするため生活訓練課程(G2)の対象となった者は42人(男子42人)であり,前年よりも3人減少している。国籍別に見ると,ブラジル(38人)が最も多い。非行名別に見ると,最も多いのは窃盗(26人,前年18人),次いで強盗(7人,前年19人)であり,前年に比べて窃盗が増加し,強盗が減少している。保護処分歴を見ると,保護観察歴がある者が14人,ない者が28人であり,少年院送致歴については,ある者が1人,ない者が41人である。不良集団関係,薬物使用関係を見ると,地域不良集団に関係する者が15人,覚せい剤に関係する者が8人,大麻に関係する者が2人である(矯正統計年報による。)。
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