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 平成15年版 犯罪白書 第1編/第3章/第1節 

第1節 犯罪歴がある成人の犯罪

 1―3―1―1図は,一般刑法犯の検挙人員中の,再犯者(以前に検挙されたことがあって,再び検挙された者をいう。以下,本章で同じ。)の人員及び比率を,成人・少年別に,過去10年間について見たものである。
 平成14年には,再犯者は,人員が12万1,341人,検挙人員中に占める比率が34.9%となっている。人員,比率とも,9年以降増加・上昇が続いている。
 成人の再犯者について見ると,人員は平成8年以降,検挙人員に占める比率は7年以降,増加・上昇していて,14年には,人員が8万2,836人,比率が40.3%となっている。特に,比率の上昇は著しく,6年の31.0%から9ポイント以上も上昇している(少年については次節参照)。

1―3―1―1図 一般刑法犯の検挙人員中の再犯者の人員及び比率の推移

 1―3―1―2図は,成人の一般刑法犯検挙人員中の,前科者(過去に道路交通法違反を除く罪により刑の確定判決を受けたことのある者をいう。執行猶予期間の経過等で刑の言渡しの効力が失われた場合を含む。以下,本章で同じ。)の人員及び比率を,最近10年間について見たものである。平成14年には,検挙人員中の前科者は5万9,862人で,その占める比率は29.1%となっている。前科数を見ると,1犯の者が前科者の約3分の1を占めていて最も多い。8年以降,前科者の数,比率とも増加・上昇傾向にあって,中でも前科1犯の者の増加が大きい。

1―3―1―2図 成人一般刑法犯検挙人員中の前科者の人員及び比率の推移

 1―3―1―3表は,平成14年の検挙人員について,前科者及び同一罪種の前科がある者の人員と比率を,主要罪名別に見たものである。前科者の占める比率は,一般刑法犯総数では29.1%であるが,脅迫,恐喝で50%を超え,殺人,強盗,強盗致死,詐欺及び「器物損壊等」で40%を超えている。また,同一罪種の前科がある者の比率は,一般刑法犯総数では14.2%であるが,詐欺,傷害では20%を超え,恐喝,窃盗で20%に近い。なお,覚せい剤取締法違反では,同違反の検挙歴がある者の占める比率は55.1%となっている。

1―3―1―3表 成人の主要罪名別前科者及び同一罪種の前科を有する者の推移

 1―3―1―4表は,平成14年に起訴された者について,前科者の人員と比率及び犯行時の身上(執行猶予中,仮出獄中又は保釈中)を,主要罪名別に見たものである。前科者の占める比率は,総数では47.2%で,罪名別では,暴力行為等処罰法違反及び覚せい剤取締法違反で60%を超えている。また,前科者のうち,犯行時に執行猶予中であった者の占める比率は,総数では14.7%であるが,罪名別に見ると,窃盗,覚せい剤取締法違反及び横領で20%前後と高くなっている。

1―3―1―4表 起訴された者の主要罪名別前科者数・犯行時の身上別人員