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 平成15年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/4 

4 外国人犯罪者の処遇(裁判所における処理状況)

(1) 外国人事件の概況

 1―2―2―9図は,最近10年間について,通常第一審における外国人事件(外国人が被告人となった事件をいう。以下,本項において同じ。)及び通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員の推移を見たものである。外国人事件は,平成10年から12年までやや減少が見られたが,13年からは再び増加しており,全体的には増加傾向にある。14年における外国人有罪人員は1万457人,通訳・翻訳人の付いた外国人有罪人員は9,090人で,いずれも過去最高となっている。また,外国人比(有罪人員総数に占める外国人有罪人員の比率)は12.2%であった(司法統計年報及び最高裁判所事務総局の資料による。)。

1―2―2―9図 外国人事件及び通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員の推移

 平成14年の通常第一審において,被告人に通訳・翻訳人の付いた外国人事件(以下,「被告人通訳事件」という。)の終局人員は9,130人であり,通訳言語の総数は35言語に及んでいる。通訳言語別の内訳を見ると,中国語が3,463人(37.9%)で最も多く,次いで,韓国・朝鮮語1,195人(13.1%),タガログ語712人(7.8%),スペイン語579人(6.3%),タイ語560人(6.1%),ポルトガル語490人(5.4%),ペルシャ語465人(5.1%)等となっている。これらのうち,上位3言語は,平成10年以降,順位に変動がない(最高裁判所事務総局の資料による。)。

(2) 科刑状況

 1―2―2―10表は,平成14年の通常第一審における被告人通訳事件の科刑分布状況(罰金を除く。)を主要罪名別に見たものである。被告人通訳事件の執行猶予率は84.1%であり,同年における日本人有罪人員の執行猶予率(59.9%)よりもかなり高くなっている。これは,被告人通訳事件の6割以上を占める入管法違反の執行猶予率が非常に高い(96.6%)ことによるもので,同法違反を除いた場合の執行猶予率は63.5%となる。

1―2―2―10表 被告人通訳事件の主要罪名別科刑分布状況

 1―2―2―11図は,通常第一審において懲役又は禁錮の言渡しのあった被告人通訳事件について,最近10年間における科刑分布状況の推移を示したものである。10年間を通して見ると,刑期1年未満の者の占める比率が低下する一方,2年以上3年以下の者の占める比率が明確に上昇しており,通訳・翻訳人付き外国人被告人に言い渡される刑期は,全体として長期化する傾向にある。

1―2―2―11図 被告人通訳事件の科刑分布状況の推移(懲役・禁錮)