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 平成15年版 犯罪白書 第1編/第1章/第6節/2 

2 連座制の適用状況

 連座制とは,選挙において,候補者本人以外の者による選挙違反行為を理由として,当選無効や立候補制限という効果を生じさせる制度のことをいう。公職選挙法は,昭和25年における施行当時から連座制を導入しており,その後,昭和27年,29年,37年,50年,56年及び平成6年に連座制を強化する法改正が行われている。
 特に平成6年における公職選挙法の改正は,[1]総括主宰者,地域主宰者,候補者の親族に加えて,新たに「秘書」及び「組織的選挙運動管理者等」を連座対象者に追加するなど,連座制の適用範囲・要件を拡張・緩和した上,[2]効果の面でも,新たに「5年間の立候補制限」を導入するなど,連座制を大幅に強化するものであった。
 当選無効及び立候補制限という連座制の効果は,一定の場合を除き,検察官が,候補者等を被告として提起する行政訴訟を経て発生する。
 平成6年の公職選挙法改正後,検察官が提起した連座訴訟は全部で83件であり,その内訳は当選無効及び立候補制限を求めるものが14件,立候補制限を求めるものが69件である。これらの事件の裁判結果は,原告勝訴の判決が確定したものが82件(訴えの利益がなくなったことを理由として,検察官が訴えを取り下げたもの10件を含む。),同一の候補者について,別の原因に基づく連座制の適用を認めた判決が確定していることを理由として,原告敗訴の判決が確定したものが1件である(平成15年5月31日現在)。
 1―1―6―2表は,検察官が提起した上記83件の連座訴訟において,いかなる立場にある者の選挙違反行為が連座制発動の根拠とされたか,その内訳を見たものである。連座制発動原因者125人のうち,その約6割に当たる77人が組織的選挙運動管理者等となっている。

1―1―6―2表 選挙別・連座制発動原因者別起訴提起状況


★組織的選挙運動管理者等(P.46)
 組織により行われる選挙運動において,運動計画の立案・調整,選挙運動に従事する者の指揮・監督,その他選挙運動の管理に当たる者をいいます。