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2 交通犯罪者の処遇 (1) 検察庁における処理状況 1―1―3―5図は,一般事件(危険運転致死傷・交通関係業過を除く刑法犯及び道交違反を除く特別法犯)と交通事件で,平成14年中の検察庁における終局処理人員の処理区分別構成比を比較したものである。交通関係業過は,一般事件と比べて起訴の比率,公判請求の比率ともに低いのに対し,危険運転致死傷は,不起訴はわずか2.0%であり,9割近くが公判請求され,その余は家庭裁判所送致となっている。危険運転致死傷罪が適用されるのは,悪質・危険な運転行為による死傷事故の場合であり,検察庁においては,個々の事案に応じた適切な事件処理が行われていることがうかがわれる。また,道交違反については,略式命令の比率が非常に高く,不起訴の比率は低くなっている。
1―1―3―5図 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比 (2) 裁判所における処理状況 1―1―3―6図は,危険運転致死傷・業過・道交違反について,平成14年中の通常第一審における懲役又は禁錮の言渡しを受けた人員の言渡し刑期を見たものである。懲役又は禁錮の言渡しを受けた者のうち実刑に処せられた者の比率は,危険運転致死傷では36.0%,業過では15.5%,道交違反では22.1%となっている。また,業務上過失致死傷の法定刑が5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金であるのに対し,危険運転致死は1年以上の有期懲役,同致傷は10年以下の有期懲役に処することと定められており,14年の通常第一審において危険運転致死傷によって5年を超える懲役の言渡しを受けた者は10人となっている。
なお,平成14年中,業過で通常第一審において罰金の言渡しを受けた者は205人,略式手続によって罰金に処された者は9万2,823人である。一方,道交違反で通常第一審において罰金の言渡しを受けた者は424人,略式手続によって罰金に処された者は71万3,847人である。 1―1―3―6図 通常第一審における危険運転致死傷・業過・道交違反の言渡し刑期別構成比 (3) 交通犯罪者に対する矯正及び保護 1―1―3―7表は,最近10年間における交通事犯(罪名が危険運転致死傷,業過及び道路交通法違反)による新受刑者数の推移を見たものである。交通事犯新受刑者数は,平成10年から増加に転じ,14年は前年の9.5%増となっており,罪名別の内訳は,危険運転致死傷受刑者が0.4%,業過受刑者が33.1%,道路交通法違反受刑者が66.5%となっている。刑期については,近年,1年を超える者の比率が高くなる傾向がうかがえる。
1―1―3―7表 交通事犯新受刑者の刑名・刑期別人員 交通事犯受刑者のうち,開放的処遇が適当と判断された成人で,[1]交通事犯以外の犯罪による懲役刑を併有しないこと,[2]交通事犯以外の犯罪による受刑歴がないこと,[3]刑期がおおむね3月以上であること,及び[4]心身に著しい障害がないことの諸条件を満たす場合,市原刑務所等の指定施設に集禁し,原則として,居室,食堂,工場等の施錠や身体検査等は行わず,行刑区域内では戒護者を付けず,面会もなるべく立会者を置かずに行うようにしている。約半数の交通事犯受刑者が,こうした処遇を受けている。なお,少年院における交通事犯の動向についても,平成11年から増加に転じており,14年には,危険運転致死傷による新収容者が2人,業過による新収容者が98人,道路交通法違反による新収容者が705人となっている。 一方,我が国の更生保護においては,交通事犯保護観察対象者の処遇は大きな割合を占めている。平成14年の新規保護観察対象者全体のうち交通事犯保護観察対象者は44.2%であり,特に保護観察処分少年のうち交通事犯少年は63.0%を占めている。1―1―3―8図は,最近10年間における交通事犯(罪名が危険運転致死傷,業過及び道路交通法違反)による保護観察対象者の新規受理人員を保護観察の種類別に見たものである。近年,保護観察付き執行猶予者及び保護観察処分少年は漸減傾向にある一方,仮出獄者及び少年院仮退院者は増加傾向にあることがうかがえる(交通短期保護観察制度については第4編第2章第6節参照)。 1―1―3―8図 交通事犯保護観察対象者新規受理人員の推移 |