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5-3-1-1図は,検察庁における殺人及び暴力的9罪種の処理状況を見たものである。
5-3-1-1図 罪種別検察庁終局処理状況の推移 殺人の処理人員は,昭和期にはおおむね2,000人を超えていたが,平成期に入ってからは,5年を除いては2,000人を下回り1,500人台前後になっている。昭和63年の処理人員が突出しているが,これは嫌疑なし2,441人を含むためである。同年の新規受理人員4,234人(検察官認知・直接告訴等受理した2,028人を含む。)中2,283人は,同一受刑者が多数の矯正職員を殺人未遂で告訴・告発した事件であるが,犯罪事実がなく,全人員が嫌疑なし等として不起訴処理されたものである。この2,283人の事件を除くと同年の起訴率は,53.1%である(平成元年版犯罪白書第2編第2章第1節参照)。起訴率はここ数年62%前後で推移しており,起訴猶予率は平成7年以降4%前後で推移している。強盗の処理人員は,平成4年までは2,000人前後で推移していたが,5年以降はほぼ一貫して増加し,9年に3,000人を,12年に4,000人を超え,13年には4,369人に達している。この増加に歩調を合わせるように,起訴率も上昇し,5年以降は80%を超え,11年以降は85%を超えている。強盗と比較的罪質が共通している恐喝の起訴率等を見ると,9年以降,起訴率が上昇するとともに起訴猶予率が低下する傾向を示している。13年では起訴率は85.2%である。強盗も恐喝も,認知件数の増加に伴って起訴率が上昇・起訴猶予率が低下しており,これらの検挙件数の増加は,起訴するに足りる事案の増加を伴っており,検察官が事案に則し厳正に対応していることがうかがわれる。 傷害,暴行,脅迫,器物損壊及び住居侵入は,起訴率がおおむね横ばい又は緩やかな低下を示すと同時に,起訴猶予率が横ばい又は緩やかな上昇にある中,全体として公判請求率が上昇(略式請求率が低下)している。特に,脅迫,器物損壊及び住居侵入の公判請求率の上昇が顕著である。公判請求率が上昇しているのは,認知件数の増加に伴って,公判請求相当の悪質事案の構成比が上昇したことが指摘できよう。なお,器物損壊及び住居侵入の公判請求事案に関しては,本章第2節2を参照されたい。 性犯罪の起訴率を見ると,強姦は,昭和59年までは50%台であったが,60年以降60%を超え,平成8年以降は70%に近づいている。強制わいせつの起訴率も逐年上昇傾向を示し,昭和50年代前半は30%台で推移していたところ,50年代半ばには40%台,平成に入ってからは,3年から6年を除いて50%を超え,12年には60%を超えている。なお,強姦と強制わいせつは,不起訴処分のうち「その他」の処理が多いが,両罪は親告罪であることから,被害者が告訴を取り消す場合が多いことを示している。 |