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 平成14年版 犯罪白書 第5編/第2章/第3節/3 

3 共犯者の状況

(1) 全体的動向

 5-2-3-3図は,殺人及び暴力的9罪種において,共犯事件の検挙件数,共犯者数の内訳,共犯事件の比率(共犯率)につき,罪名及び成人・少年別の推移を見たものである。

5-2-3-3図 共犯形態別検挙件数及び共犯率の推移

 成人の一般刑法犯における共犯率は,平成4年から上昇傾向を示し,12年からは急上昇している。また,少年の一般刑法犯における共犯率は,起伏を繰り返しながらも,昭和63年から上昇傾向を示したが,平成5年から低下傾向を示し,11年から再び上昇傾向に転じている。13年を見ると,成人では約15%が共犯事件であるのに対し,少年では25%を超える事件が共犯事件である。

(2) 殺人及び暴力的9罪種の共犯率

 殺人の共犯者数と共犯率は,成人では,おおむね大きな変化はなく,共犯率は8%前後で推移している。しかし,少年では,大きな起伏を繰り返しながらも,長期的には上昇傾向がうかがえ,平成13年では20%を超えた。また,少年では,5年以降,5人以上の共犯事件が増加する傾向を示している。
 強盗では,成人の共犯率が,昭和63年以降一貫して上昇してきたが,平成6年以降,増減を繰り返し,13年では20%となっている。少年では,元年以降,起伏を繰り返しながらもほぼ上昇傾向にあり,7年以降はおおむね66%から78%の範囲で推移している。
 恐喝では,成人の共犯率がおおむね35%から40%の範囲で推移しているのに対して,少年ではほぼ60%前後で推移している。強盗と比較すると,恐喝の方が成人の共犯率が高く,複数で犯行に及んでいることがうかがわれる。
 傷害と暴行では,成人も少年も,共犯率が長期にわたり低下する傾向にある。脅迫は成人においては,おおむね共犯率が低下傾向を示し,少年は増減を繰り返し,一定していない。
 強姦では,成人の共犯率は平成13年では10.7%であり,2人共犯が多い。少年の共犯率は約30%で3人以上の共犯が多いことが指摘される。強制わいせつは,成人・少年とも共犯率が極めて低く,13年では前者はわずか1.2%,後者は2.4%にすぎない。同じ性犯罪でありながら,強姦は単独でも共犯でも遂行されやすいのに対し,強制わいせつは,共犯に馴染みにくく,単独で遂行される傾向にあるといえる。
 住居侵入は,成人・少年ともに共犯率が上昇していることが指摘される。成人は,一貫して2人共犯が多いが,平成8年以降は3人以上の共犯が増加している。
 器物損壊は,成人の平成8年を除き,成人・少年ともに共犯比がほぼ横這いで推移している。少年では約半数が共犯事件である。

(3) 集団化の実態

 強盗の共犯形態の内訳を子細に見ると,単に強盗の共犯化が進行しているだけではなく,多人数化が進んでいることが指摘できる。昭和62年と平成13年を比較すると,検挙件数が約2倍に留まっているのに対し,3人共犯が約3倍(279件)に,4人共犯及び5人共犯がそれぞれ約4倍(176件,110件)に,6人以上の共犯事件は約8倍,件数にして 14件から118件へと,それぞれ大幅な増加を示している。成人・少年の別で見ると,成人では,3人共犯が約4倍,5人以上が15件から76件へと急増している。少年は,3人共犯が約3倍,5人以上が19件から99件へと急増した。成人と少年が共謀した強盗事件では,3人共犯が21件から57件へ,5人以上が8件から53件へと増加している。
 住居侵入においても,昭和62年と平成13年の検挙人員は,それぞれ5,150人前後とさして変わらないにもかかわらず,共犯状況を見ると,3人共犯が約1.5倍,4人共犯が約2倍,5人共犯が約3倍となっている。成人のみの共犯状況を見ると,3人共犯が約2倍,4人共犯が約15倍,5人以上の共犯事犯が7倍となっている。少年のみの共犯状況を見ても,2人共犯と3人共犯は,ほぼ同数であるが,4人共犯は約1.3倍,5人以上の共犯事犯が,60件から103件へと増加している。
 これらの動向は,最近において強盗や住居侵入では,比較的多人数で犯行に及ぶ件数が増加していることを示しており,集団化の傾向がうかがわれる。