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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第5章/第4節/2 

2 F級受刑者の意識

 意識調査は,F級受刑者に,各国語で書かれた調査票への記入を求める方法で行った。質問項目は,[1]本件犯罪に関する事項,[2]受刑生活に関する事項,[3]出所後の生活に関する事項及び[4]刑務所の教育に関する事項に大別される。

(1) 本件犯罪に関する事項

 IV-74図は,本件犯罪に関する事項について,「はい」と答えた者の比率を示したものである。来日前から犯罪について考えていたと回答した者の比率が急激に低下している。

IV-74図 本件犯罪に対する意識

(2) 受刑生活に関する事項

 「刑務所の生活に慣れましたか」との質問に,「いいえ」と回答した者の比率は,2年調査での55.2%及び5年調査での41.8%と比べ,今回調査では65.3%と上昇している。「担当職員の指示が分かりますか」との質問に「はい」と回答した者は,2年調査での42.5%と比べ,5年調査では75.5%と,33.0ポイント上昇したものの,今回調査では77.5%と,5年調査と比べて2ポイント上昇するにとどまった。一方,今回調査で「いいえ」と回答した者は22.5%であり,5人に1人は,受刑者生活を円滑に送るための担当職員の指示が理解できないとしている。
 「作業が自分のためになると思いますか」との質問に対して,「はい」と回答した者の比率は,今回調査では68.0%であり,5年調査の77.2%と比べ,比率は低下している。
 「家族のことで心配なことがありますか」との質問に対して,「はい」と回答した者の比率は,2年調査では95.5%,5年調査では85.7%,今回調査では93.9%となっており,大部分の者が,異国での収容生活中に,家族のことを案じていることが分かる。
 「いらいらすることが,よくありますか」との質問に対して,「はい」と回答した者の比率は,2年調査では69.6%,5年調査では54.4%,今回調査では61.5%となっており,今後とも,F級受刑者に対し,心情安定のため,きめ細やかに配慮していく必要があるといえよう。

(3) 出所後の生活に関する事項

 IV-75図は,出所後の生活に関する事項について見たものである。

IV-75図 出所後の生活に対する意識

 「あなたは,できれば出所後も日本で生活したいと思いますか」との質問に対し,「はい」と回答した者の比率は,2年調査では19.8%,5年調査では28.4%,今回調査では30.5%となっており,経年につれて上昇している。

(4) 刑務所の教育に関する事項

 この事項は,今回調査で新たに追加した質問群である。「刑務所に入ったあと,事件を反省しましたか」との質問については,1,123人(90.9%)の者が「はい」と回答している。「自分が再び事件(犯罪)を起こさないようにするための,特別な教育(指導)を受けたことがありますか」との質問に対して,「はい」と回答した者は486人(41.9%)であり,「いいえ」は555人(47.8%),「分からない」は118人(10.2%)となっている。