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3 新収容者の特質 (1) 入院時の年齢 昭和55年以降の新収容者の年齢層別構成比の推移を5年ごとに見たのが,III-28図である。年長少年が最も高い比率を占めていたが,近年は,中間少年の比率が上昇し,12年は年長少年の比率をわずかながら上回っている。
III-28図 少年院新収容少年の年齢層別構成比の推移 平成12年の新収容者について,入院時の年齢を男女別に見ると,男子は17歳(23.5%)が最も多く,次いで,18歳(22.7%),19歳(19.5%),16歳(19.2%)の順となっており,女子は17歳(21.7%)が最も多く,次いで,16歳(19.5%),15歳(18.9%),18歳(15.4%)の順となっている。(2) 非行名 昭和55年以降における新収容者の非行名別構成比の推移を5年ごとに見ると,III-29図のとおりである。窃盗の比率は,いずれの年次においても最も高いものの,低下傾向にあり,傷害・暴行,強盗及び恐喝の比率が高くなっている。
III-29図 少年院新収容者の非行名別構成比の推移 III-30図は,昭和55年以降における新収容者の非行名別構成比の推移を,年齢層別に同様に見たものである。年少少年については,55年には,窃盗及び虞犯が4分の3を占めていたが,平成7年以降,虞犯の比率が大幅に低下し,強盗及び恐喝が上昇している。窃盗は,12年にやや比率が低下したものの,おおむね40%台で推移している。中間少年については,2年以降,窃盗の比率が低下している。傷害・暴行,強盗,恐喝は上昇傾向にあり,12年は,これら三つで40%近くを占めている。年長少年についても,2年以降,窃盗の比率が大幅に低下し,傷害・暴行,強盗,恐喝が上昇している。III-30図 少年院新収容者の年齢層別非行名別構成比の推移 平成12年の新収容者について,非行名を男女別に見ると,男子では,窃盗(31.7%)が最も高く,次いで,傷害・暴行(14.9%),恐喝(11.2%)の順となっており,女子では,覚せい剤取締法違反(33.9%),虞犯(16.9%),窃盗(12.7%)の順である(巻末資料III-13参照)。(3) 外国人少年 平成12年の新収容者中,外国人で日本人と異なる処遇を必要とする者として生活訓練課程(G2)の対象となった少年は38人(男子37人,女子1人)であり,国籍別に見ると,ブラジル(30人)が最も多い。年齢別に見ると,最も多いのは19歳(12人)であり,次いで18歳(11人),17歳(8人)の順となっており,また,非行名別に見ると,最も多いのは窃盗(17人)であり,次いで強盗(10人),覚せい剤取締法違反(3人)となっている(矯正統計年報による。)。
(4) その他 [1] 平成12年の新収容者中,保護者が実父母である者の比率は50.8%(男子51.7%,女子43.0%)と半数以上であり,男子と比べて女子の比率は低い。
III-31図は,昭和55年以降の新収容者の非行時の居住状況について,家族と同居していた者の比率の推移を男女別に見たものである。男女共に,おおむね上昇傾向にあり,特に女子は,55年に22.0%であったものが,平成12年には60.6%と,約3倍になっている。 III-31図 少年院新収容者の同居率の推移 [2] III-32図は,昭和55年以降の新収容者の不良集団関係別構成比を5年ごとに見たものである。60年以降,地域不良集団の比率は20%台で推移しているのに対し,暴走族の比率は,平成2年以降上昇している。III-32図 少年院新収容者の不良集団関係別構成比の推移 平成12年の新収容者中,不良集団に関係のある者の比率は58.1%(男子59.9%,女子41.8%)である。その所属不良集団を見ると,男子は暴走族(29.0%),地域不良集団(24.4%),不良生徒・学生集団(3.9%)の順,女子は地域不良集団(24.5%),暴走族(8.2%),暴力団(5.8%)の順となっている。[3] 平成12年の新収容者中,非行時に薬物等を使用していた者の比率は,21.8%(男子18.8%,女子48.9%)である。その使用薬物等の種類を男女別に見ると,男子では有機溶剤(12.0%),覚せい剤(6.0%)の順,女子では覚せい剤(36.7%),有機溶剤(11.4%)の順となっている。 [4] III-33図は,統計を取り始めた昭和57年及び60年以降5年ごとに新収容者の共犯者数の推移を見たものである。単独の比率が低下し,共犯者4人以上が上昇している。また,共犯者の関係は,いずれの年次も遊び仲間の比率が最も高いが,近年は,不良集団が上昇している。 III-33図 少年院新収容者の共犯者数別構成比の推移 平成12年の新収容者中,共犯者がいる者は67.6%(男子68.9%,女子55.7%)であり,共犯者との関係については,遊び仲間の比率が最も高く,共犯者がいる者の53.3%(同52.7%,59.2%)を占めている。[5] 平成12年の新収容者中,無職者は49.2%(男子48.6%,女子54.8%),学生・生徒が19.8%(同18.9%,28.1%)である。 [6] III-34図は,昭和55年以降の新収容者の教育程度の推移を5年ごとに見たものである。平成7年以降,中学校卒業の比率は低下しており,高等学校中退が上昇している。また,昭和55年には1.9%であった高等学校在学者の比率は,平成12年には9.8%と約5倍になっている。 III-34図 少年院新収容者の教育程度別構成比の推移 平成12年の新収容者中,中学校卒業の比率は41.7%(男子42.3%,女子36.9%)と最も高く,次いで,高等学校中退が33.7%(同33.9%,32.0%),中学校在学が11.2%(同10.3%,19.5%),高等学校在学が9.8%(同9.9%,9.4%)の順となっている。 |