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 平成13年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/3 

3 上訴審

 平成11年,12年に言い渡された第一審判決に対する控訴率を見ると,地方裁判所の判決に対しては,11年で10.6%,12年で11.4%,簡易裁判所の判決に対しては11年で5.2%,12年で5.5%となっている。高等裁判所の控訴受理人員は11年で6,049人,12年で7,186人で,これを控訴申立当事者別に見ると,被告人側のみの申立てによるものは11年で5,905人(97.6%),12年で7,012人(97.6%),検察官のみの申立てによるものは11年で114人(1.9%),12年で137人(1.9%),双方からの申立てによるものは11年で29人(0.5%),12年で35人(0.5%),その他(破棄差戻し・同移送,再審,回付等)は11年で1人(0.0%),12年で2人(0.0%)である(司法統計年報による。)。
 II-6表は,平成11年及び12年に高等裁判所が控訴審として処理した結果を,罪名別に見たものである。

II-6表 罪名別控訴審終局処理人員

 終局処理人員総数(平成11年6,049人,12年7,186人)に占める比率は,控訴棄却が11年で67.3%,12年で66.1%,取下げが11年17.6%,12年19.5%,破棄自判が11年14.6%,12年14.0%である。これを罪名別に見ると,11年においては,取下げ率では,覚せい剤取締法違反(24.6%),窃盗(23.6%),暴力行為等処罰法違反(22.5%),恐喝(21.7%)が高く,また,破棄自判率は,過失傷害(31.4%),入管法違反(24.3%),強姦・強制わいせつ(24.2%),傷害(23.0%)が高い。12年では,取下げ率は,暴力行為等処罰法違反(28.2%),覚せい剤取締法違反(27.8%),窃盗(24.5%),とばく・富くじ(22.2%)が高く,破棄自判率は,競馬法(50.0%),過失傷害(34.4%),強姦・強制わいせつ(23.1%),恐喝(21.9%)が高い。
 破棄理由を見ると,破棄人員総数のうち11年で238人(26.8%),12年で203人(20.2%)は量刑不当によるものであり,自判の結果,裁判が覆されて無罪となった者は11年で10人,12年で12人で,両年とも終局処理人員総数の0.2%を占めている。
 なお,検察官が第一審の無罪判決を不服として控訴した事件のうち,平成11年に12人,12年には21人の被告人に対し控訴審の裁判が行われているが,そのうち11年は6人(50.0%),12年は18人(85.7%)については,第一審判決が覆されて有罪となっている(検察統計年報による。)。
 平成11年及び12年に言い渡された控訴審の判決に対する上告率を見ると,全体では,11年で40.1%,12年で38.9%で,第一審判決に対する上訴率に比べると高くなっている。最高裁判所の上告受理人員は11年で1,720人,12年で1,929人である。最高裁判所が上告審として終局処理した人員は11年で1,669人,12年で1,938人で,その内訳は,上告取下げが,11年424人(25.4%),12年558人(28.8%),上告棄却は,11年1,230人(73.7%),12年1,368人(70.6%),破棄差戻し・移送は,11年5人(0.3%),12年1人(0.1%)となっている(司法統計年報による。)。