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 平成13年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節/1 

1 犯罪歴を有する成人の犯罪

 I-27表は,交通関係業過を除く刑法犯検挙人員中で再犯者が占める人員等につき,最近10年間における推移を成人,少年別に見たものである(少年については次項参照)。

I-27表 刑法犯検挙人員の再犯者及び再犯者率の推移

 I-28表は,成人の交通関係業過を除く刑法犯検挙人員について,前科者の前科数別構成比の最近10年間における推移を見たものである。

I-28表 成人刑法犯検挙人員の前科数別構成比の推移

 成人においては,検挙人員に占める再犯者の比率(以下,本節では「再犯者率」という。)が,平成7年以降上昇しており,前科を有する者の比率も,8年以降おおむね上昇傾向にあるが,前科を有する者の内訳においては,全期間を通じて,1犯のみである者の比率が上昇傾向にあるのに対し,3犯以上の者の比率は総じて低下傾向にある。
 なお,平成12年の検挙人員につき,検挙に係る犯罪と同一罪種の前科を有する者の比率は,交通関係業過を除く刑法犯全体では14.6%であり,さらに主要罪名別に見ると,殺人では5.4%,強盗では7.5%,放火では7.3%,強姦では9.3%,強制わいせつでは9.4%,傷害では21.4%,恐喝では19.0%,窃盗では18.3%,詐欺では22.1%となっている(警察庁の統計による。)。
 I-29表は,平成12年に起訴された者について,その前科の有無及び犯行時における身上(執行猶予中,仮出獄中又は保釈中)を主要罪名別に見たものである。

I-29表 起訴された者の主要罪名別・前科別・犯時の身上別人員

 刑法犯では,前科を有する者の占める比率が高いのは,暴力行為等処罰法違反であり,以下,窃盗,詐欺,恐喝という財産の取得を目的とした犯罪が続いている。特別法犯全体では,前科を有する者の比率は,刑法犯全体の比率を下回っているが,覚せい剤取締法違反,銃刀法違反,毒劇法違反については,いずれも50%を超える高い数値を示している。
 また,執行猶予中又は仮出獄中に犯行に及んで起訴された者を起訴罪名別に見ると,前科を有する者の占める比率が最も高いのは,刑法犯では窃盗であり,特別法犯では覚せい剤取締法違反である。保釈中に犯行に及んで起訴された者の比率・人員は,いずれの起訴罪名においても極めて低く,窃盗の13人,覚せい剤取締法違反の27人が目を引く。