5 犯罪被害調査 ニュー・ジーランドでは,1996年に初めて独自の犯罪被害実態調査(Vic-timsurvey)を実施している。調査の目的は,犯罪被害の発生状況及び被害の実態をより正確に調査するとともに,犯罪予防や犯罪被害者対策に対する市民の反応を知ることにあったが,同時に,女性の暴力犯罪被害,特に家庭内での暴力被害の実態にも焦点を当てたものとなっている。結果は,いろいろな側面から分析され,半数以上の事件が警察に認知されていないこと,特に器物損壊及び暴行においてこのような傾向が顕著であること,さらに,被害者の中には同種被害を繰返し受けている者が少なくないこと,暴行・脅迫の被害の発生率は,家庭・職場・路上でほとんど差がないことなどが報告されている。また,犯罪被害者援護に関しては,約40%の回答者が警察以外の犯罪被害者支援サービスがあることを知らず,警察に通報した被害者のうち,犯罪被害者支援団体等から何らかの連絡を受けたのは12%であったという結果が報告されており,犯罪被害者援護のより一層の強化が課題となっている。
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