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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第6章/第2節/4 

4 被害者に対する感情等

 (1)責任の所在に関する認識
 V-32図は,「今回の事件の責任について,どのように思いますか」と尋ねた結果を,非行名別に示したものである。総数で見ると,74.0%のものが「すべて自分に責任がある」と答えており,「被害者も少しは悪いが,大部分は自分に責任がある」とするものも併せると95.0%となっている。「すべて自分に責任がある」とするものの比率を非行名別に見ると,殺人等では55.8%,傷害では42.0%と,総数での比率を下回っているのに対し,窃盗では89.0%,強盗では85.1%,強姦等では79.3%と,総数における比率を上回っている。

V-32図 非行名別責任の所在に関する認識

 (2)被害者等に対する感情
 V-33図は,「被害者やその家族に申し訳ないと思っていますか」と尋ねた結果を,非行名別に示したものである。申し訳ないと思っていると答えた者が,傷害で85.7%となっているほかは,いずれも9割を超えており,全体では92.9%となっている。申し訳ないと思っていないと答えた者は,全体で3.7%にとどまっているが,非行名別で見ると,傷害が7.3%となっており,他の非行より,やや高くなっている。

V-33図 非行名別被害者等に対する感情

 さらに,これを暴力団関係の有無,少年院入院回数及び被害者との面識の有無別に見ると,被害者やその家族に申し訳ないと思っているとするものの比率は,暴力団関係「あり」では85.5%であるのに対し,「なし」では93.1%,入院回数「2回以上」では88.6%であるのに対し,「1回」では93.7%,被害者との面識「あり」では89.9%であるのに対し,「なし」では94.2%となっている。
 (3)被害者に対する感情の変化
 V-34図は,「事件の直後と現在とでは,被害者に対するあなたの気持ちは変化していますか」と尋ねた結果を,非行名別に示したものである。

V-34図 非行名別被害者に対する感情の変化

 「前よりも,申し訳ないという気持ちが強くなった」とするものは,総数では60.2%となっており,気持ちが変化したきっかけを尋ねた結果を見ると,「施設の職員の面接や指導の中で」が66.2%と高率であり,次いで,「つかまったことで」,「審判を受けたことで」の順となっている。さらに,変化のきっかけとして「施設の職員の面接や指導の中で」及び「施設で,教海師や篤志面接委員の面接を受けたことで」を挙げるものの比率について,少年院入院後の在院期間を追って見たものがV-82表である。在院期間が長い少年ほど,「施設の職員の面接や指導の中で」及び「施設で,教海師や篤志面接委員の面接を受けたことで」を挙げる者の比率が高くなっている。

V-82表 在院期間別被害者に対する感情変化の契機