前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成11年版 犯罪白書 第5編/第4章/第3節/3 

3 過失犯の示談状況と処分内容

 V-47表は過失犯について,被害の程度別・示談の成否別の処分内容及び被害の程度別の示談成立率を見たものである。

V-47表 過失犯の被害の程度別・示談の成否別処分内容

 過失犯では,被害者死亡の事案の方が,被害者が受傷した事案と比べて示談成立率が高く,また,被害者が受傷した事案においては,傷害の程度が軽いものの方が,示談成立率が高くなっている。
 さらに,傷害の程度と処分内容の関係を見ると,全般的に,傷害の程度が軽い事案では起訴猶予の比率が高く,傷害の程度が重い事案では,実刑判決の比率が高くなっている。また,示談の成否別に処分内容を見ると,被害者死亡の事案では,示談未成立の場合の方が,示談成立の場合と比べて,実刑判決の比率が高くなっており,示談の成否が処分内容に影響を与えていることがうかがえる。一方,被害者が受傷した事案では,示談の成否による影響が明確には認められないが,これは,過失犯の大部分を占める交通関係業過において,保険制度の普及に伴い,通常,被害者は保険により治療費等に対する補償を受けることができることなどによるものと考えられる。