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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第4章/第3節/2 

2 生命・身体犯の示談状況と処分内容

 生命・身体犯について,被害の程度別・示談の成否別に処分内容を見たのがV-46表である。
 示談が成立したものの占める比率(以下「示談成立率」という。)は,傷害なしでは約17%と低いが,加療期間が2週間以下及び2週間を超え1か月以下の場合は,いずれも30%近くを占め,1か月を超え3か月以下では約37%と高くなっている。これに対し,3か月を超える傷害では12.5%,死亡では2.9%と極端に低くなっている。

V-46表 生命・身体犯の被害程度別・示談の成否別処分内容

 次に,示談の成否別に処分内容を見ると,傷害なし及び加療期間2週間以下の比較的軽微な事案では,示談成立の事案において起訴猶予の比率が,示談未成立の事案において略式命令の比率が,それぞれ高い。加療期間2週間を超え1か月以下では,示談成立の事案において執行猶予になっているものの比率が高く,示談未成立の事案において略式命令の比率が高い。なお,加療期間1か月を超え3か月以下は,示談未成立の事案において,示談成立の事案と比べて,執行猶予の比率が高く,実刑判決の比率が低くなっている。
 加療期間3か月を超える傷害事案及び死亡事案においては,示談が成立したものは,それぞれ1件と少ないが,いずれも執行猶予になっているのに対し,示談未成立の場合では,実刑の比率が加療期間3か月を超える傷害事案で30%近く,死亡事案で80%近くに上っている。