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3 事件による影響 (1)精神的影響
V-16表は,被害者が事件によって受けた精神的影響の有無を,殺人等,業過致死,強姦及び強制わいせつを除く罪種別に見たものである。「大きな精神的な影響を受けた」とするものの比率は,傷害等及び業過傷でほぼ70%,恐喝及び詐欺等でほぼ60%,強盗及び窃盗で50%前後となっている。 なお,「大きな精神的な影響を受けた」とするものの比率は,業過傷では,受傷期間が長いものの方が,また,窃盗,詐欺等及び恐喝では,財産的損害総額の多いものの方が,それぞれ高くなっている。 V-16表 精神的影響の有無(罪種別) V-17表は,精神的影響の内容を尋ねた結果を,罪種別に見たものである。これによると,殺人等及び業過致死の遺族や強姦及び強制わいせつの被害者の多くが,多様な精神的影響を受けていることがうかがえる。50%以上の者が選択している項目は,殺人等で「何をする気力もなくなった」,「病気になったり,精神的に不安定になった」,「食欲がなくなった」,「夜眠れなくなったり,悪夢に悩まされるようになった」,「人と会いたくなくなった」,業過致死で「何をする気力もなくなった」,「食欲がなくなった」,「病気になったり,精神的に不安定になった」,強姦で「夜眠れなくなったり,悪夢に悩まされるようになった」,「病気になったり,精神的に不安定になった」である。また,「感情がまひした(喜びや悲しみを感じられない)ような状態となった」や「自分としての実感がない(自分が自分でない)ような状態となった」とするものの比率は,殺人等及び業過致死の遺族で30%台から40%台,強姦の被害者で20%台であるが,強制わいせつの被害者では10%未満である。 その他の罪種でも,80%台の被害者が何らかの精神的影響を受けたとしており,窃盗と詐欺等を比較すると詐欺等が,強盗と恐喝を比較すると恐喝が,共に,精神的影響の内容につき,そのほとんどの項目について,選択する被害者の比率が高くなっている。 なお,「その他」の精神的影響として記載のあった内容は多岐にわたっているが,人が信用できなくなったことが業過致死及び業過傷以外の罪種で挙げられており,特に詐欺等で多くなっそいる。また,傷害等及び恐喝では,加害者側からの再度の加害や報復への恐怖を訴えるものが,強姦では,事件後一人で家にいることへの恐怖を訴えるものが,強制わいせつでは,事件後の外出や自分に近づく物音・足音などへの恐怖を訴えるものが,それぞれ見られた。このほか,強姦及び強制わいせつの被害者で,「異性に対して恐怖を覚えるようになった」とするものの比率は,強姦で約67%,強制わいせつで約51%である。 V-17表 精 神 的 影 響 の 内 容(罪種別) V-18表遺族回答者の精神的影響の内容(続柄別) V-18表は,殺人等及び業過致死の遺族が事件によって受けた精神的影響の内容を,被害者に対する続柄別に見たものである。被害者の親・子・配偶者の多くが,多様な精神的影響を受けていることがうかがえる。特に,被害者の親・配偶者においては,他と比べて,「何をする気力もなくなった」,「人と会いたくなくなった」,「外出ができなくなった」,「感情がまひした(喜びや悲しみを感じられない)ような状態となった」等とするものの比率が高くなっている。(2)生活面への影響 V-19表は,被害者等が事件によって受けた生活面の影響の有無及びその内容を,罪種別に見たものである。生活面の影響の有無を罪種ごとに見ると,殺人等及び業過致死の遺族では,80%以上のものが生活面で何らかの影響があったとしている。これに対し,生活面での「影響はない」とするものの比率が高いのは,強盗(約65%)及び窃盗(約57%)である。 生活面の影響の内容を,罪種別に見ると,「生活が苦しくなった」とするものの比率は,傷害等(約43%),業過傷(約41%),詐欺等(約37%)などで高い。「家庭が暗くなった」,「子育てに影響があった」,「家庭が崩壊した」の比率は,殺人等及び業過致死(いずれも,ほぼ70%,20%,10%)で高くなっている。「引っ越さなければならなくなった十の比率は,強姦(約26%)及び強制わいせつ(約13%)などで高く,「仕事や学校を続けられなくなった」の比率は,業過傷(約26%),強姦(約18%),傷害等(約18%)などで高い。 また,「生活が苦しくなった」とするものの比率は,窃盗,詐欺等,強盗及び恐喝を併せたものについて見ると,財産的損害総額の多いものの方が,おおむね高くなっている。 なお,「その他」の生活面への影響の内容に関する記載は多岐にわたっているが,各罪種共に,仕事をする気力がなくなったことを訴えるものや,仕事への支障を生じたなどとするものが見られた。 このほか,強姦・強制わいせつの被害者で,「親しい人との関係が悪くなった」とするものの比率は,強姦で約18%,強制わいせつで約15%である。 V-20表は,殺人等及び業過致死の遺族が,事件によって受けた生活面の影響の有無及びその内容を,被害者に対する続柄別に見たものである。「生活が苦しくなった」とするものの比率は,配偶者(約53%)で高く,「家庭が暗くなった」とするものの比率は,親(約82%)で最も高い。 |