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 平成11年版 犯罪白書 第4編/第5章/第1節/1 

第5章 女性の犯罪

第1節 女性の犯罪の動向

1 女性による刑法犯の動向

 IV-25図は,昭和21年以降の交通関係業過を除く女子刑法犯検挙人員及び交通関係業過を除く刑法犯検挙人員に占める女子の比率(女子比)の推移を見たものである。検挙人員は,58年に戦後最高に達し,以後62年,63年を除き減少傾向にあったが,平成5年から再び増加に転じ,10年は,前年より2,342人(3.3%)増加して7万2,723人となっている。また,女子比は,昭和37年までは10%に満たなかったが,38年に10%を超え,さらに63年には20%を超えた。その後,平成2年から下降したものの,6年以降再び上昇に転じ,10年は,戦後最高となった9年と同じ22.4%である。

IV-25図 交通関係業過を除く女子刑法犯検挙人員及び女子比の推移

 なお,この間,交通関係業過を除く女子刑法犯検挙人員の14歳以上の女子の人口10万人当たりの比率(人口比)は,おおむね90から190の間を推移しており,平成2年から8年までは100から110の間であったが,9年には126.5,10年には129.9となっている(巻末資料I-1参照)。
 最近10年間の交通関係業過を除く女子刑法犯検挙人員の年齢層別構成比を見ると,IV-26図のとおりである。

IV-26図 交通関係業過を除く女子刑法犯の年齢層別構成比

 この10年間は,一貫して少年が最も高い比率を占めている。検挙人員に占める少年の比率(少年比)は,平成3年以降やや低下傾向にあったが,7年に上昇に転じ,9年,10年は50%台となっている。
 平成10年における交通関係業過を除く女子刑法犯の罪名別検挙人員を,元年及び9年と対比して示したものが,IV-11表である。10年においても,前年と同様,検挙人員の約8割を窃盗が占めており,以下,横領,傷害,詐欺の順となっている。このうち,窃盗の約8割が万引きであり,横領のほとんどが遺失物等横領である。女子比が比較的高い罪名は,窃盗,殺人,放火等であり,殺人のうちの嬰児殺については,9割近くが女子によるものである。また,前年と比べて,増加率の高いのは,傷害,横領,恐喝等である。
 なお,女子の少年比が高い罪名は,恐喝(83.5%),傷害(80.6%),暴行(60.9%)等である(女子少年の非行について,第3編第1章第2節1参照。)。

IV-11表 交通関係業過を除く女子刑法犯の罪名別検挙人員