4 いじめと非行 文部省初等中等教育局の資料によれば,平成9年度(会計年度)に公立小学校・中学校・高等学校・特殊教育諸学校において発生したいじめの件数は4万2,790件である。これを態様別(総数5万8,530件。重複計上による。)に見ると,最も件数の多かったものは,ひやかし・からかいの1万5,926件(27.2%)で,次いで,言葉での脅し1万497件(17.9%),仲間はずれ9,637件(16.5%),暴力9,338件(16.0%)となっており,一口にいじめといってもその態様は様々で,必ずしもすべてが刑事司法手続の対象とされるわけではない。また,行為の性質上,実態を把握しにくいのが実状である。 いじめに起因する事件の件数及び補導人員を見ると,いずれも昭和60年の638件,1,950人をピークに,長期的にはおおむね減少している。平成10年は,件数が前年と比べ5件(5.4%)増加して98件となっているが,補導人員は42人(13.5%)減少して268人となっている(警察庁生活安全局の資料による。)。いじめに関しては,いじめを受けた被害少年が,いじめに対する仕返しとして,殺人,傷害等を犯したり,自殺をするなどの事例も見られる。10年の事件総数98件のうち,6件がいじめの仕返しによる事件である。 法務省では,平成6年に,子どもの人権問題を専門的に取り扱う「子どもの人権専門委員」制度を設け,11年6月1日現在,計687人の専門委員を全国の法務局・地方法務局に配置し,いじめに悩む人々に対する相談活動を行い,いじめ解消のための適切な処置を講じている。
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