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 平成11年版 犯罪白書 第3編/第1章/第1節/2 

2 少年特別法犯の動向

 (1)送致人員等の推移
 III-6図は,警察庁の統計により,少年特別法犯の内訳が明らかにされた昭和31年以降の道交違反等交通関係法令違反を除く特別法犯の罪名別送致人員の推移を示したものである(巻末資料III-5参照)。
 少年特別法犯送致人員総数の動きを見ると,昭和38年の1万8,967人と58年の3万9,062人をピークとする大きな波が見られる。罪名別に見ると,30年代は銃刀法違反が多く,同法違反による送致人員が1万人を超えた38年を中心とする数年間は,交通関係法令違反を除く少年特別法犯送致人員の5割以上を同法違反が占める状況が続いたが,その後は著しく減少し,52年以降はおおむね400人ないし500人前後で推移している。
 これに代わって,昭和40年代の後半からは,薬物関係の犯罪が著しく増加している。少年の薬物犯罪において圧倒的多数を占めるのは毒劇法違反であり,次いで覚せい剤事犯である。

III-6図 少年特別法犯の送致人員の推移

 III-1表は,最近10年間の交通関係法令違反を除く少年特別法犯送致人員を罪名別に見たものである。送致人員総数は,平成3年以降減少傾向にあったが,10年は前年と比べ,わずかに増加している。また,いずれの年次も毒劇法違反が最も多く,10年は前年より増加している。一方,7年以降覚せい剤取締法違反が増加していたが,10年は前年と比べ減少している。
 平成10年の交通関係法令違反を除く少年特別法犯送致人員の罪名別構成比を見ると,毒劇法違反が60.6%で最も高く,次いで,覚せい剤取締法違反(11.4%),軽犯罪法違反(7.6%),銃刀法違反(5.4%)の順となっており,毒劇法違反及び覚せい剤取締法違反の二つの罪名で7割を超えている。

III-1表 少年特別法犯の罪名別送致人員

 (2)交通事犯
 III-7図は,昭和41年以降の少年の道交違反送致人員及び車両等の運転に関する道路交通法違反取締件数(反則事件告知件数及び非反則事件送致件数)の推移を見たものである。
 昭和41年に約75万人を数えた少年の道交違反送致人員は,徐々に減少し,45年5月に道路交通法が一部改正(同年8月施行)され,少年にも交通反則通告制度が適用されることになったことから,46年には約25万人に激減した。50年代に入ると再び漸増傾向を示したものの,62年に交通反則通告制度の適用範囲が拡大されたことから再び大幅に減少し,以後,減少傾向にあり,平成10年には11万3,505人(前年比2.0%減)となっている。
 一方,少年の道路交通法違反の取締件数は,昭和40年代半ば以降急激に増加し,60年には約194万件とピークに達したが,その後は減少傾向にある。
 平成10年の取締件数は81万7,139件で,このうち,70万6,566件(86.5%)は反則事件として告知されたものである。また,10年における少年の非反則事件について違反態様別の構成比を見ると,無免許が47.0%で最も高く,次いで,最高速度違反(23.5%),酒気帯び(8.1%),定員外乗車(5.6%)の順となっており,成人と比較すると,無免許(成人は5.4%)の占める割合の高さが目立っている。

III-7図 少年の道交違反送致人員及び道路交通法違反取締件数の推移