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 平成11年版 犯罪白書 第2編/第5章/第3節/4 

4 保護観察の実施結果

 (1)保護観察終了時の状況
 II-22図は,平成10年に保護観察を終了した者について,その終了事由別 構成比を,保護観察の種類別に見たものである。期間満了による者が最も多 く,仮出獄者では1万1,682人,保護観察付き執行猶予者では3,194人(うち,600人が保護観察の仮解除中)となっている。

II-22図 保護観察の終了事由別構成比

 平成10年について,保護観察の終了事由が仮出獄取消しである者及び刑の執行猶予取消しである者の比率を,受理時の罪名別(終了者数が100人未満のものを除く。)に見ると,前者では,窃盗(12.6%)が最も高く,以下,強盗(8.3%),詐欺(8.3%)の順,後者では,覚せい剤取締法違反(41.3%)が最も高く,以下,窃盗(39.5%),詐欺(32.5%)の順となっている。
 (2)再犯及び再入所の状況
 II-23図は,平成元年以降に保護観察を終了した者について,保護観察期間中に,再度罪を犯し,かつ,新たな処分を受けた者の比率(以下「再犯率」という。)を示したものである。再犯率は,仮出獄者についてはおおむね1%前後で,また,保護観察付き執行猶予者についてはおおむね30%台で,それぞれ推移している。
 平成10年における再犯率は,仮出獄者が1.0%(131人),保護観察付き執行猶予者が35.5%(1,750人)となっている。さらに,受理時の罪名別(終了者数が100人未満のものを除く。)に再犯率を見ると,仮出獄者では,殺人(3.3%)が最も高く,次いで,強盗(2.9%),銃刀法違反(1.8%)の順,保護観察付き執行猶予者では,覚せい剤取締法違反(42.4%)が最も高く,次いで,窃盗(41.4%),傷害(36.4%)の順となっている。なお,仮出獄者のうち受理時罪名が殺人,強盗である者の再犯の内容は,道交違反や業過などの交通事犯が4割以上を占め,同種事犯はなかった。

II-23図 保護観察期間中の再犯率の推移

 II-24図は,昭和62年以降に行刑施設を出所した仮出獄者と満期釈放者について,出所後3年目までの間に行刑施設に再入所した者の比率(以下「累積再入所率」という。)を示したものである。累積再入所率は,仮出獄者が満期釈放者よりも低い傾向が一貫して続いており,平成8年に出所した者では,前者が26.0%,後者が44.3%となっている。

II-24図 出所事由別累積再入所率の推移