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 昭和38年版 犯罪白書 第二編/第五章/一 

第五章 仮釈放

一 仮釈放の概況

 仮釈放とは,矯正施設に収容されている者を,収容期間満了前の適当な時期に,身体の拘束を解き,自由社会において更生を図ろうとする措置である。この措置は,収容者個々について,施設内での成績,行状はもちろん,性格,経歴,犯罪内容,さらに社会感情,帰住予定地の受入れの適否などを調査し,慎重な審理の上,仮釈放が相当であるとの判断に基づいてなされる。
 この判断,すなわち仮釈放の許否の決定は,高等裁判所単位におかれている全国八か所の地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という)の権限に属している。
 地方委員会の審理の対象となるものは,仮出獄,仮出場,少年院からの仮退院および婦人補導院からの仮退院の四種である。このうち,仮出場は拘留に処せられた者や,罰金,科料を完納できず労役場に留置された者について,単に釈放手続がとられるにすぎず,保護観察またはこれに代わる更生保護の措置と結びつけられていない。しかし,その他の三つの場合には,いずれも釈放者が一定期間保護観察に付されるのであって,釈放者は指導監督と補導援護をうけ,更生を助長されると同時に,課せられた遵守事項に違反した場合は,事情によっては,矯正施設に再収容されることになっている。
 地方委員会における仮釈放の審理は,各審理事件ごとに指名される主査委員が中心になって進められ,委員三人で構成する合議体で,その許否が決定される。
 最近五年間の地方委員会による仮釈放事件の受理状況はII-95表のとおりであって,その取扱人員を種類別にみると,仮退院は昭和三六年を除き漸増の傾向にあるが,仮出獄が逐年減少しているため,総人員においては,漸次減少する傾向を示している。これは主として,刑務所収容人員の減少によるものと思われる。

II-95表 仮釈放種類別新受人員(昭和32〜36年)

 このように,地方委員会における仮釈放審理は,取扱人員だけからみれば,漸次負担が軽減しているようであるが,審理の対象となるもののうち,累犯者の占める割合が少なくないことなどから,慎重な審理を要するものは依然として多い。