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1 概況 昨年度の犯罪白書において,交通犯罪を「いまや国民の直面する最も大きな社会問題となっている」と表現したが,不幸にして本年度も全く同様の表現を用いざるを得ない。むしろ,最も「重大な」とさえ,いうべきであるかもしれない。昭和三七年中に交通事故により死傷した人の数は三二二,九三七人(うち死者一一,四四五人)におよんでいる。一口に三〇万というが,人口ちゅう密な日本においてさえ,人口三〇万を越える都市は,二二にすぎないのである(昭和三五年一〇月現在)。
試みに,戦後の自動車台数と交通事故(人身事故および物件事故を含む)総件数,死者数および負傷者数の推移をながめてみると,I-29表のとおり,自動車台数において約三六倍,負傷者数において約三四倍,事故総件数においては約五五倍と増大していることに驚かされる。また,I-30表のとおり,検察庁の全受理人員中に占める業務上過失致死傷事犯の通常受理人員数の比率も,昭和二四年の一・四%から,昭和三七年の二三・四%と同様驚異的なのびを示していることがわかる。 I-29表 台数・事故件数・死者数・負傷者数の推移(昭和20〜37年) I-30表 業務上過失致死傷の受理人員等(昭和24〜37年) |