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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第7章 

第7章 諸外国の少年非行

 本章においては,我が国の少年非行の動向や少年司法制度を諸外国と比較するため,入手し得た公的資料の範囲内で,アメリカ,連合王国(ただし,資料の関係上,イングランド及びウェールズに限る。以下,本章においては,「イギリス」という。),ドイツ,フランス及び韓国の5か国について,1987年から1996年までの10年間における少年非行の動向並びに少年司法制度及びその運用状況を概観する。
 我が国と上記5か国においては,犯罪とされるものの範囲や犯罪構成要件を異にし,統計の取り方も同一ではない上,少年年齢の法律上の差異もあるため,正確な比較は困難であるが,刑法犯等主要な犯罪並びに殺人,強盗,傷害,窃盗及び強姦の5罪種(我が国のこれらの罪名との比較を図るには,上記5か国においては複数の罪名の統計数値を合算する必要があるため,本章においては,これを「罪種」と呼び,これら5罪種を「特定5罪種」という。)について,可能な限り同じ年齢層別に統計数値を整理するという方法によって,各国の少年非行の動向を概括的に把握することとした。
 また,各国の少年司法制度を概観し,これと我が国のそれとを比較することは,今後の我が国における少年非行対策を検討する上でも有益であると考える。
 なお,本章において,我が国と上記5か国の少年非行の動向を見るに当たっては,各国の少年年齢の相違から,便宜上,原則として,18歳未満(ただし,イギリスは,1992年以前は,17歳未満)を「少年」,18歳以上21歳未満(ただし,我が国及び韓国は20歳未満)を「青年」,それ以外の者を「成人」と称することとした(ただし,フランスは18歳以上の者をすべて「成人」とする。)。