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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第5章/第4節/3 

3 非行に興する意見

 III-98図は,「少年が非行にはしるのは,どこに主な原因があると思うか」を尋ねた結果を前回調査と比較したものである。

III-98図 少年が非行にはしる原因(経年)

 男子では,前週調査と同様に,「少年自身」を挙げる者が最も多く,以下,「友達・仲間」,「家庭(親)」の順となっているが,それぞれが占める比率では,「友達・仲間」が前底調査より上昇する一方,「家庭(親)」が低下している。また,女子では,前回調査と同様に「少年自身」を挙げる者の占める比率が最も高くなっているが,比率は前回より低下しているほか,前回2位であった「家庭(親)」が3位に後退し,代わって,前回3位であった「友達・仲間」が2位になっている。
 男女共に,非行の原因を友達や仲間に求める傾向が強くなっているが,女子では,非行の原因を「家庭(親)」に求める者の比率が低下しているものの,なお男子と比較すると高くなっている。
 非行の原因について,少年院在院少年と短期保護観察少年とで比較したものがIII-99図である。どのグループも「少年自身」を挙げる者が最も多いが,少年院在院少年の方が,非行の原因を自分自身に求める傾向が強い。これに対し,短期保護観察少年は,「家庭(親)」や「友達・仲間」を挙げる者の比率が少年院在院少年より高くなっている。

III-99図 少年が非行にはしる原因(非行惟)

 III-100図は,「もし,あなたが法律で禁じられているような「悪い」ことをしようと思った時,あなたを思いとどまらせる心のブレーキになるものは何ですか」と尋ねた結果について,少年院在院少年と短期保護観察少年を比較したものである。

III-100図 心のブレーキ(非行性)

 どのグループにおいても,非行の抑制要因として「家族」(「父母」と「兄弟を含めた家族全体」の合計。)を挙げる者の比率が最も高く,次いで「警察につかまる」となっているが,短期保護観察少年は,少年院在院少年と比べて,「友達から仲間はずれ」や「学校・職場への迷惑」といった家族以外の身近な人物・社会を挙げる者や,自分自身(「自分で自分がいやになる」)を挙げる者の比率が高くなっている。一方,少年院在院少年では,「特に心のブレーキになるものはない」とする者の比率が短期保護観察少年より高くなっている。男女で比較すると,女子の方が,「警察につかまる」及び「自分で自分がいやになる」を挙げる者の比率が高い。
 次に,「非行少年の扱いについて,厳しく罰するか,あたたかく指導するか,どちらの意見に賛成か」と尋ねた結果を前回調査と比較すると,「厳しく罰する」とした者は,男子が前回13.6%,今回14.1%,女子が前回12.1%,今回14.8%であり,大きな変化は認められない。
 非行少年の扱いに関する意見について少年院在院少年と短期保護観察少年を比較したものがIII-101図であり,男女とも短期保護観察少年より少年院在院少年の方が,「厳しく罰する」を選択した者の比率が高くなっている。また,男女別では,男子の方が「厳しく罰する」を選択した者の比率が高い。

III-101図 非行少年の扱い(非行性)