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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第5章/第2節/1 

第2節 一般的適応感

1 家庭生活に対する満足度

 III-77図は,家庭生活に対する満足度について,前回調査と比較したものである。家庭生活に満足(「満足」と「やや満足」の合計。以下同じ。)とする者の比率は,いずれも前回を上回っており,特に,女子で満足とする者の比率の上昇が顕著である。一方,不満(「不満」と「やや不満」の合計。以下同じ。)とする者の比率は,いずれも前回を下回っており,前回調査と比較して家庭生活に対する満足度は高くなっているといえる。

III-77図 家庭生活に対する満足度(経年)

 次に,家庭生活に不満とした者に対して,その理由を尋ねた結果を示したものがIII-78図である。不満理由の第1位と第2位は前回と同様に,「親が自分を理解してくれない」と「家庭内に争いごとがある」が挙がっているが,親子間や家庭内の対人関係等を背景とした不満理由はおおむね前回を下回っているのに対し,「家庭の収入が少ない」という経済的な理由を挙げる者の比率が上昇している。

III-78図 家庭生活に対する不満の理由(経年)

 III-79図は,家庭生活に対する満足度を少年院在院少年と短期保護観察少年とで比較したもりである。満足とする者の比率は,男女とも短期保護観察少年の方が高くなっている。一方,不満とする者は,短期保護観察少年が男女とも1割前後にとどまっているのに対し,少年院男子では約2割,同女子では約3割に上っている。非行性が進んでいる者の方が家庭に対して不満を抱く者が多く,また,男子と比べて女子でその傾向が強いことがうかがえる。

III-79図 家庭生活に対する満足度(非行性)