平成１０年版　犯罪白書第3編/第2章/第5節/9

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平成１０年版　犯罪白書第3編/第2章/第5節/9

9 まとめ

① 犯行地と居住地との関連

　傷害,恐喝及び窃盗においては,犯行地が対象少年の居住地と同一市町村であるものの比率が大多数を占めている。また,犯行地が大都市である場合には,犯行地が郡部である場合と比べて,同一市町村であるものの比率が高くなっている。

② 犯行場所

　傷害及び恐喝は,路上を犯行場所とする者の比率が高い。また,学校等とする者の比率は,傷害では昭和50年代後半に急上昇し,恐喝でも50年代後半から60年代初めにかけてピークがあったが,その後は下降している。
　窃盗では,デパート等とする看の比率が最も高い年次が多いが,建物等周辺とする者が,昭和50年代以降,長期的に上昇している。

③ 犯行動機

　恐喝,窃盗及び横領において,「困窮・生活苦」とする者の比率は極めて低い。傷害においては,近年,「激情」がおおむね50%台であり,「怨恨・報復」が20%台から30%台である。
　窃盗及び横領においては,「遊び」の比率が,おおむね20%台から30%台で推移しているが,近年,傷害及び恐喝においても,この比率が上昇傾向を見せている。

④ 犯行の計画性

　「計画的犯行」の比率は,恐喝は40%台から50%台で,傷害は20%台から40%台で,窃盗は20%台から30%台で,横領は20%未満で,それぞれ推移している。

⑤ 共犯関係

　恐喝においては共犯率が極めて高く,おおむね70%台で推移している。傷害,窃盗及び横領の共犯率は,近年は下降傾向を示している。

⑥ 被害者との関係,被害程度等

　被害者と知人・友人・顔見知りの関係にある者の比率が,傷害で上昇しているのに対し,恐喝では下降している。また,傷害及び恐喝のいずれにおいても,20歳未満を被害者とする比率が高くなっている。
　恐喝は,窃盗に比べて,被害金額の少ない事件の比率が高くなっているが,近年,被害金額が1万円を超える事件の比率の上昇傾向が見られる。また,傷害では,近年は,1週間を超えて1月以内の被害に係るものがおおむね50%台で推移している。

⑦ 非行歴及び再犯期間

　非行歴のある者は,近年,傷害及び恐喝はおおむね30%台で,窃盗及び横領はおおむね10%台で,それぞれ推移している。
　窃盗においては,再犯期間が6月未満のものがおおむね40%台から50%台で推移して耽るのに対し,粗暴犯においては,近年,再犯期間が長いものの比率が上昇する傾向が見られる。

⑧ 反省の態度

傷害では,反省の態度を示す者の比率が,近年,低下する傾向が見受けられる。また,窃盗は,傷害と比べて,反省の態度を示す者の比率が高くなっている。