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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第2章/ 第2節/2 

2 薬物事犯

 III-10図は,昭和47年に毒物及び劇物取締法の一部改正(同年8月施行)が行われ,シンナー等有機溶剤の濫用行為,濫用することの情を知って販売する行為等が犯罪とされることになって以降の,同法違反による少年送致人員及び少年比(送致人員総数に占める少年の比率)の推移を示したものである。

III-10図 毒劇法違反の少年送致人員及び少年比の推移(昭和47年〜平成9年)

 同法違反による少年送致人員は,昭和47年以降急増し,57年には2万9254人とピークを示した後,引き続き2万人台で推移していたが,平成3年以降減少が続き,9年には5057人と,ピーク時の約6分の1となっている。
 少年比の推移を見ると,昭和47年以降年々上昇し,58年から平成4年までは80%を超える高率で推移したが,最近は70%を下回って推移しており,9年には68.2%となっている。
 III-11図は,昭和45年以降における覚せい剤事犯の少年検挙人員及び少年比(検挙人員総数に占める少年の比率)の推移を見たものである。

III-11図 覚せい剤事犯の少年検挙人員及び少年比の推移(昭和45年〜平成9年)

 少年による覚せい剤事犯は,昭和50年代に入ってから急増し,57年の2769人をピークとしてその後減少に転じたが,平成7年から再び増加し,9年には前年比159人(11.0%)増の1601人となっている。
 少年比は,昭和50年代後半に10%を超え,57年の11.7%をピークとして,その後は低下傾向にあったが,平成3年以降,5年及び6年を除き上昇し,9年は8.0%となっている。
 III-12図は,昭和45年以降における麻薬等事犯の少年検挙人員の推移を見たものである。

III-12図 麻薬等事犯の少年検挙人員の推移(昭和45年〜平成9年)

 麻薬取締法違反の少年検挙人員は,昭和48年の98人をピークに減少し,50年以降は一けたないし20人前後の低い水準で推移している。大麻取締法違反の少年検挙人員は,53年に209人とピークに達した後減少し,60年代に入って再び増加傾向を示していたが,平成6年の303人をピークにその後減少に転じ,9年は前年比39人(26.2%)減の110人となっている。