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 平成10年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/2 

2 仮出獄の運用

(1) 仮出獄申請受理人員

 II-23図は,昭和53年以降における仮出獄申請受理人員を見たものである(巻末資料II-16参照)。仮出獄申請受理人員は,平成4年以降は1万3000人台で推移しており,9年には前年より600人(4.6%)増加し,1万3745人となっている。

II-23図 仮出獄申請受理人員推移(昭和53年〜平成9年)

 なお,近年,拘留受刑者及び労役場留置者の仮出場並びに婦人補導院からの仮退院については,受理人員はない。

(2) 仮出獄人員と仮出獄率

 II-24図は,昭和53年以降における仮出獄人員及び仮出獄率を示したものである。平成9年の仮出獄人員は,前年より513人増加し,1万2829人となっている。また,仮出獄率は,元年以降,56%を超えて推移しており,9年は,前年を0,7ポイント上回り,58.3%となっている。

II-24図 仮出獄人員及び仮出獄率の推移(昭和53年〜平成9年)

(3)  仮出獄申請の棄却率

 II-27表は,最近3年間における仮出獄申請に対する棄却率を,刑の種類等の別に示したものである。平成9年の棄却率は,無期刑の者の35.3%を除けば,8%以内であり,総数では,7年が2,6%,8年が2.4%,9年が1.8%と,逐年低下している。

II-27表 刑の種類・刑期・入所度数別仮出獄許否状況(平成7年〜9年)

(4) 仮出獄者に対する刑の執行率等

 II-25図は,平成9年に仮出獄を許された者(不定期刑及び無期刑の者は除く。)について,刑の執行率(執行すべき刑期のうち,仮出獄により出所するまでに執行された刑期の比率)を累犯・非累犯別及び刑期別に示したものである。累犯・非累犯別に見ると,非累犯者は,累犯者に比べ刑の執行率が低くなっている。また,II-28表は,最近10年間に仮出獄を許された無期刑受刑者について,行刑施設における在所期間別人員を見たものである。

II-25図 仮出獄者の累犯・心累犯者別及び刑期刑に見た刑の執行率(平成9年)

II-28表 無期刑仮出獄者の行刑施設在所期間別人員(昭和63年〜平成9年)

(5) 帰住予定地の環境調整

 保護観察所においては,矯正施設に収容されている者の社会復帰を円滑にするため,その者が収容された直後から継続的に家族その他の引受人との調整を行い,本人の社会復帰のため最も適した環境を準備する環境調整を実施している。
 環境調整の経過・結果は,地方委員会及び本人を収容する矯正施設において,仮釈放審理や矯正処遇の資料とされている。平成9年においては,受刑者2万8442人及び少年院在院者5324人の計3万3766人について環境調整を新たに実施し,同年12月31現在,受刑者・少年院在院者を合わせて4万1544人について環境調整を実施中である(保護統計年報による。)。