第2節 不起訴処分に対する救済制度等 付審判請求に係るいわゆる準起訴手続を例外として,公訴権は検察官のみに付与されており,また,検察官には公訴の提起について広い裁量権がある。しかし,検察官が判断を誤り,起訴すべき事件を起訴しないという可能性もあることから,告訴人等に対する救済の制度が法律上整備されている。これが,検察審査会に対する審査申立て及び管轄地方裁判所に対する付審判請求である。 検察審査会に対する審査申立ては,公訴権の行使に関しても,できる限り民意を反映させ,その適正を図るという趣旨から,検察審査会法(昭和23年法律第147号)に基づいて設けられた制度であり,付審判請求は,公務員による各種の職権濫用等の罪についての告訴人又は告発人による請求を認める制度であり,刑事訴訟法に定められている。 また,検察官は,告訴・告発のあった事件について,公訴を提起し,又は不起訴処分をしたときは,速やかにその旨を告訴人・告発人に通知しなけれぽならず,不起訴処分をした場合において,告訴人・告発人の請求があるときは,速やかにその理由を告げなければならないとされている。さらに,告訴・告発のあった事件以外の一定の事件についても,犯罪被害者等一定の者に対し,公訴を提起したことや裁判結果等を通知する被害者通知制度が,平成10年6月末現在,25の検察庁に導入されている。 なお,法律上の救済制度ではないが,検察官が行った不起訴処分については,実務上,上級検察庁の長に対して不服を申し立てて監督権の発動を促すことがあり,上級検察庁がこれを受理した場合には,処分を再検討し,処理結果を不服申立人に通知している。
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