前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 9年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節/7 

7 少年の更生保護

 昭和24年7月,我が国の戦後の更生保護制度が誕生した際に,少年に関するこの制度を所管する組織として,地方少年保護委員会(27年に地方更生保護委員会として統合)及び少年保護観察所(同年に保護観察所として統合)が設置された。
 犯罪や非行に陥った少年を対象とする更生保護の制度としては,[1]少年院在院者に対する仮退院の審理・決定,[2]家庭裁判所の決定により保護処分としての保護観察に付された者に対する保護観察,及び[3]少年院を仮退院した者に対する保護観察を挙げることができる。
 少年院仮退院人員は,昭和27年に1万人近くに達した後減少し,少年院に短期処遇の区分が設けられるなどした52年前後から増加に転じ,59年から62年にかけて5,000人を上回る状態が続いたが,以後再び減少傾向にあり,平成8年には約3,800人となっている。
 次に,少年に対する保護観察については,成人と同様,分類処遇制度及び類型別処遇制度が実施されており,特に少年を主たる対象とする類型としては「シンナー等濫用」,「中学在学」,「無職等少年」,「暴走族」等が設けられている。また,昭和52年には交通短期保護観察制度が導入され,平成6年には交通関係業過や道交違反以外で保護観察処分に付された少年についての短期保護観察制度も導入され,これに前後して,保護観察処遇の一形態として,社会福祉施設における奉仕活動等の社会参加活動が積極的に実施されるようになっている。
 保護観察処分少年の新規受理人員は,昭和26年には約2万4,000人のピークとなり,その後一時減少したが,41年には約3万人の第二のピークとなった。その後再び減少傾向にあったものの,交通短期保護観察制度が導入された52年からは急増し,58年以降7万人前後で推移していたが平成3年以降減少傾向にあり,8年は約5万1,200人である。また,少年院仮退院者の新規受理人員の推移は,上記の少年院仮退院人員の推移のとおりである。
 昭和30年以降の保護観察終了事由別の構成比の推移は,保護観察処分少年,少年院仮退院者ともに,期間満了の割合が低下する一方,前者については解除の,後者については退院の割合が上昇しており,保護観察成績良好者に対する良好措置が積極的に執られ,処遇の短期化が図られてきていることがうかがえる。