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 平成 9年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/2 

2 更生保護

(1) 概  説
 昭和24年7月の犯罪者予防更生法の施行によって,我が国の戦後の更生保護制度は誕生した。27年8月,法務府は法務省と改称され,その内局として保護局が設置されて中央更生保護委員会は廃止されるとともに,法務大臣の下に,同大臣に対して恩赦の申出をする権限を持つ中央更生保護審査会が設置された。同時に,成人・少年の各地方保護委員会が全国8か所の1地方更生保護委員会」として,成人・少年の各保護観察所は全国50か所の「保護観察所」として,それぞれ統合された。
(2) 仮釈放の推移
 仮出獄申請受理人員は,戦後の行刑施設における過剰収容を背景に,犯罪者予防更生法の施行直後の昭和25年の約6万200人を最高に,26年,27年と5万人を超えて推移した後,33年以降はおおむね減少傾向を続け,50年代に一時増加傾向を示したものの,60年を境に再び減少に転じ,平成4年以降は1万3,000人台で推移している。
 仮釈放率については,犯罪者予防更生法が施行された昭和24年には約80%という極めて高い率を示し,25年,26年と70%を超え,その後も60%台で推移していたが,30年代後半以降は,若干の高低を示しながら長期的に低下を続け,57年には約51%と現行制度発足後最低の率となった。しかし,59年3月,仮出獄の適正かつ積極的な運用に関する方針が示され,以降,仮釈放率は55%を超えて推移している。
(3) 保護観察の推移
ア 保護観察官と保護司の協働態勢
 保護観察の処遇は,通常,保護観察官と保護司との協働態勢により行われている。
 現行の保護司制度は,昭和25年に施行された保護司法によって成立した。保護司の実人員は60年以降,4万8,000人台で推移している。女性保護司の保護司総数に占める比率は,28年には約7%であったものが,その後一貫して上昇し,平成8年12月31日には約23%に至っている。また,職業別構成比も大きく変わり,昭和28年と平成8年とを比較してみると,農林・漁業及び宗教家の占める比率がそれぞれ20%を超えていたものが,いずれも10%台に低下した一方,主婦の占める比率が約3%から約14%へと上昇している。
イ 保護観察対象人員の推移
 仮出獄者の新規受理人員については,犯罪者予防更生法の施行後間もない昭和25年から27年には4万人を超えていたが,その後長期的に減少を続け,50年代前半には1万4,000人台にまで減少した。そして,59年に仮出獄の適正・積極化策が始められ,一時期増加した後,最近は1万2,000人台で推移している。
 保護観察付き執行猶予者の新規受理人員については,現行の執行猶予者保護観察制度が完成した昭和29年以降逐年増加し,33年以降はほぼ7,000人台ないし8,000人台で推移した後,50年代の終わりからは減少傾向を示し,平成に入った後は4,000人台ないし5,000人台で推移してきている。
ウ 保護観察対象者の特性
 仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者の新規受理人員の罪名別構成比は,昭和35年には窃盗が,仮出獄者については6割近くを,また,保護観察付き執行猶予者については5割近くを占めていたところ,その比率は次第に低下して,50年以降,前者は30%台で,後者はおおむね30%前後で,それぞれ推移している。一方,覚せい剤取締法違反がその比率を急激に上昇させ,仮出獄者では60年以降は30%近くで,また,保護観察付き執行猶予者では20%前後で,それぞれ推移している。
 次に,昭和35年以降の新規受理人員の年齢層別の構成比は,仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者のいずれにおいても,近年,40歳以上の者の占める比率が漸次高くなってきており,高齢化の傾向が認められる。
 さらに,昭和46年に現行の分類処遇制度が発足したが,近年,仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者の,いずれにおいても,処遇困難者とされるA分類の者の比率は上昇しており,処遇困難者が相対的に増加していることがうかがえる。
エ 保護観察の終了
 保護観察を終了した者の終了事由は,仮出獄者では,昭和24年以降,期間満了で終了する者の比率が一貫して90%台で推移する一方,仮出獄取消しで終了する者の比率は一けた台で推移しており,また,保護観察付き執行猶予者では,現行制度発足直後の一時期を除き,期間満了で終了する者の比率はおおむね60%台ないし70%台で推移する一方,執行猶予の取消しで終了する者の比率は,おおむね20%台ないし30%台で推移している。
 保護観察を終了した者のうち保護観察期間中に,再度の犯罪又は非行を起こし,かつ,新たな処分を受けた者の比率(再犯率)は,昭和54年以降,仮出獄者についてはおおむね1%から2%で,また,保護観察付き執行猶予者についてはおおむね30%台で,それぞれ推移しており,平成8年は,前者が0.9%,後者が34.0%となっている。さらに,行刑施設を釈放された者について,出所後3年目までの間に行刑施設に再入所した者の比率(再入所率)は,釈放事由別には,仮出獄者が満期釈放者よりも低い傾向が一貫して続いており,8年は,前者が25.8%,後者が46.1%となっている。
(4) 更生保護法人
 戦後,昭和25年に,更生緊急保護法が公布・施行され,それまでの司法保護団体は,新たに更生保護会として生まれ変わった。同法は,更生保護会を法務大臣の認可を受けて更生保護事業を営む者とし,同法下で改めて認可を受けたのは,直接保護会143団体及び連絡助成保護会17団体の160団体であった。更生保護会は,平成8年4月に,更生保護事業法が施行され,更生保護法人に組織変更した。
 継続保護事業を営む更生保護法人(平成7年以前は更生保護会)は,昭和30年代半ばには170団体前後あったが,その後は減少し,平成2年以降は99団体である。
 更生保護施設への委託人員(実人員)は,昭和41年には総数で1万3,000人を超えていたが,以後減少し,40年代の終わりには1万人を割った後,50年代から60年代初頭にかけては1万人台を回復し,その後再び減少して,近年は8,000人台ないし9,000人台で推移している。これを事件種類別に見ると,41年には,刑の執行終了者が45.5%を占め,仮出獄者は33.8%であったものが,以後,刑の執行終了者の比率が低下する一方,仮出獄者の比率は高まり,49年には仮出獄者の比率が刑の執行終了者の比率を上回って,近年は,仮出獄者の比率は50%台で,また,刑の執行終了者の比率は20%台で推移している。