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 平成 9年版 犯罪白書 第2編/第6章/第2節/3 

3 各種の施策

(1) 仮釈放準備調査制度
 地方委員会では,仮釈放の申請を受理する前であっても,仮釈放審理の充実及び本人の円滑な社会復帰を目的として,事務局所属の保護観察官を矯正施設へ出向かせ,本人との面接の上社会復帰上の問題点を把握させるとともに,必要な措置等について矯正施設の職員と協議を行わせるなどしている。この仮釈放準備調査は,昭和41年10月に導入され,以来実施対象施設を拡充し,少年院については60年4月から,行刑施設については平成2年4月から,いずれも全施設で実施されるに至っている。8年に同調査を実施した人員は,受刑者(2万6,340人)と少年院在院者(6,327人)を合わせると3万2,667人である(法務省保護局の資料による。)。
 さらに,この仮釈放準備調査を一層充実させるため,昭和56年10月から,地方委員会事務局所属の保護観察官を行刑施設に常駐させる施設駐在官制度が導入され,現在,10庁の大規模な刑務所において実施されている。駐在する保護観察官(施設駐在官)は,仮釈放準備調査のほか,各種矯正処遇への協力,矯正施設内の各種処遇関係会議への参列等の業務を行い,矯正と更生保護との有機的な連携に貢献している。平成8年に施設駐在官が面接した受刑者の延べ人員は3,232人,また,刑執行開始時の指導等及び釈放前指導等に対する協力回数はそれぞれ373回及び345回であった(法務省保護局の資料による。)。
(2) 長期刑受刑者に対する仮出獄審理の充実強化
 行刑施設に長期にわたり収容される者は,一般的に,凶悪・重大な犯罪を犯しているため厳しい社会的批判を受けており,また,資質,環境等の面で問題のある者が少なくない。このため,地方委員会では,長期刑受刑者の仮釈放審理に当たっては,本人の心身の状況,被害者感情をはじめ,関係事項について特に周到な調査と審理を尽くすとともに,本人に対する指導・助言,帰住予定地の環境調整等に格別の配慮をしている。
 昭和54年4月から,長期刑受刑者に対する新たな施策が実施され,無期刑受刑者を含む執行すべき刑期が8年以上の長期刑受刑者に対して,地方委員会事務局の保護観察官による仮釈放準備調査をできるだけ早期に開始し,これを定期的に継続するとともに,主査委員による複数回の面接や複数委員による面接を行うなど,特に慎重な審理を行っている。