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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第7章/第2節/1 

1 検察審査会

 検察審査会は,全国に201か所設置されており,選挙人名簿を基にくじで選ばれた者11人(任期6か月)の検察審査員をもって組織される。告訴人,告発人,請求人若しくは被害者の申立てにより又は職権で,検察官の不起訴処分の審査を行い,「起訴相当」,「不起訴不当」又は「不起訴相当」の議決を行う。この議決には法的拘束力はないが,起訴相当又は不起訴不当の議決があった場合,検事正は,議決を参考にし,公訴を提起すべきものと考えるときは,起訴の手続をしなければならない。
 I-14表は,昭和61年から平成7年までの10年間における検察審査会の事件の受理・処理状況を見たものである。5年に新受・処理人員が多かったのは,多数の市民により告発がなされた国会議員の寄付金に係る政治資金規正法(量的制限)違反事件関係の申立て(4万305人)が含まれていたことによる。7年の新受入員のうち,刑法犯は1,216人であり,罪名別に見ると,業務上過失致死傷が342人で最も多く,以下,詐欺160人,文書偽造145人,職権濫用(特別公務員暴行陵虐・同致死傷を含む。)121人,傷害・同致死84人の順となっており,特別法犯は143人で,公職選挙法違反の47人が最も多く,次いで,所得税法違反の28人となっている。

I-14表 検察審査会事件受理・処理人員

 さらに,起訴相当又は不起訴不当の議決がなされた事件について,検察庁がとった原不起訴理由別事後措置は,I-15表のとおりである。
 ちなみに,昭和24年の検察審査会法の施行から平成7年までの間の累計では,12万6,669件の処理がなされ,1万5,816件の起訴相当又は不起訴不当の議決がなされている。このうち933件が起訴され,858人(自由刑319人,罰金539人)が有罪になっている(最高裁判所事務総局刑事局の資料による。)。

I-15表 起訴相当・不起訴不当議決事件の原不起訴理由別事後措置