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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第4章/第5節/1 

1 外事関係特別法犯の新規受理人員の推移

 入管法違反及び外登法違反の検察庁新規受理人員の推移は,I-47図のとおりである(巻末資料I-7参照)

I-47図 外事関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移

 入管法違反については,昭和30年代後半から減少傾向を続け,41年から60年までの間は多い年でも600人台であったが,平成に入ると急激な増加を示し,外国人入国者総数が350万人を超えた2年には同法違反による新規受理人員が1,000人を超え,8年には8,000人に達している。この増加の背景には,不法就労を目的として来日する外国人が急増したことや,多数の外国人が許可された在留期間を経過しても出国せず,本邦に残留(いわゆる不法残留)していることなどがある。そこで,これらの事態に対処するため,元年12月には,入管法が一部改正され(2年6月施行),不法就労助長罪が新設されるなどした。また,8年から9年にかけては,船舶を利用した中国等からの不法な集団密航事件が激増し,これに対応するため,9年5月に入管法が一部改正(同月施行)され,集団密航に係る罪等が新設された。(本編第2章第2節4参照)
 外登法違反については,昭和27年以降32年までは28年,30年及び32年と2年ごとに2万人を超える,32年以降は3年ごとに1万5,000人を超える山を示して増減を繰り返しながら経過したが,47年の約1万8,300人を最後のピークに以後減少傾向に転じ,特に平成に入ってからは著しく少なくなっており,3年以降は多い年でも300人台である。
 なお,昭和27年の外国人登録法改正(同年4月施行)により外国人登録証明書の有効期限は2年とされ,31年の一部改正(同年8月施行)では同証明書の切替交付の期間が3年とされ,さらに,57年の一部改正(同年10月施行)ではこの期間が5年に伸長されている。