前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第4章/第3節/2 

2 女子の薬物犯罪の動向

 薬物犯罪は,検挙(送致)人員総数に占める女子の比率(女子比)が比較的高い犯罪であり,また,特に覚せい剤事犯がそうであるように,暴力組織,売春等との関連も強いものがある。そこで,ここでは,特に女子の薬物犯罪の動向について見ることとする。
 I-39図は,昭和45年以降における覚せい剤事犯の女子検挙人員及び女子比の推移を見たものである。覚せい剤事犯の女子検挙人員は,59年の4,384人をピークとして,その後緩やかな減少傾向を示していたが,平成3年以降は2,900人前後でほぼ横ばいとなり,7年からは再び増加に転じて,8年には3,731人となっている。女子比は,昭和45年には11.5%であったが,その後,多少の起伏はあるものの,全体としては緩やかな上昇傾向を示しており,平成8年には19.0%となっている。

I-39図 覚せい剤事犯の女子検挙人員及び女子比の推移

 I-40図は,昭和45年以降における女子の麻薬等事犯検挙人員の推移を見たものである。
 麻薬取締法違反は,昭和40年代には30人台から50人台で推移し,その後63年までは一けた台ないし20人台に減少していたが,平成に入ってからはおおむね50人以上で推移しており,8年には57人となっている。

I-40図 麻薬等事犯の女子検挙人員の推移

 あへん法違反は,昭和40年代から50年代にかけておおむね100人から300人の間で増減を繰り返し,60年に318人とピークに達した後は減少傾向を示し,平成5年には最少の53人となったが,6年に増加に転じて127人となり,8年には95人となっている。
 大麻取締法違反は,昭和41年の129人から49年の77人まで漸減した後,起伏を示しつつも増加を続け,平成6年には248人とピークに達したが,以後2年連続して減少し,8年には146人となっている。
 なお,平成8年における女子比を見ると,麻薬取締法違反20.7%,あへん法違反67.4%,大麻取締法違反11.2%となっており,あへん法違反における女子比の高さが目立っている。
 I-41図は,昭和47年以降の女子の毒劇法違反送致人員及び女子比の推移を見たものである。
 女子による毒劇法違反送致人員は,昭和47年以降多少の起伏を示しながらも増加を続け,平成2年に8,613人とピークに達したが,以後,大幅な減少が続き,8年は2,163人でピーク時の約4分の1となっている。女子比は,昭和50年代の初めまで6%台ないし7%台で推移し,その後上昇を続けて平成3年には29.4%に達した。その後,緩やかな下降傾向に転じているものの,8年には24.9%と,依然高水準にある。

I-41図 毒劇法違反の女子送致人員及び女子比の推移