III-19表は,家庭裁判所による昭和60年から平成6年までにおける殺人・強盗及び強盗致傷等の終局処理人員を見たものである。
III-19表 凶悪事犯に係る少年保護事件の家庭裁判所終局処理人員(昭和60年〜平成6年)
殺人は,昭和60年には91人であったものが,63年以降平成5年までは40人台から50人台で横ばい状態で推移し,6年には前年比で22人(41.5%)減少して31人となった。
強盗は,昭和60年には199人であったものが,その後は起伏を繰り返し,平成6年には前年比で9人(4.4%)増加して214人となった。
強盗致傷等は,昭和60年には214大であったものが,その後は多少の起伏はあるものの増加傾向を示し,平成6年には前年比で90人(25.8%)の大幅増加を見せて,過去10年間では最高の439人を記録した。
交通関係業過・道交違反及び虞犯を除いた家庭裁判所の終局処理人員総数中に占める凶悪事犯に係る終局処理人員の比率は,昭和63年以降,わずかながらも上昇の傾向が見受けられ,平成6年は0.5%になっている。
III-20表は,平成6年の家庭裁判所における凶悪事犯に係る少年保護事件の終局処理人員を処理内容別に見たものであり,そのうちの保護処分を内容別に見たのがIII-21表である。
構成比の高いものから見ると,殺人では,検察吉送致(45.2%),少年院送致(41.9%),保護観察-(9.7%),審判不開始(3.2%),不処分(0%)の順,強盗では,保護観察(40.7%),少年院送致(26.6%),不処分(24.3%),審判不開始(4.7%),検察官送致(2.8%)の順,強盗致傷等では,保護観察(37.4%),少年院送致(35.1%),不処分(15.5%),検察官送致(6.4%),審判不開始(5.5%)の順になっている。
なお,強盗及び強盗致傷等については,構成比10%台から20%台の不処分(強盗について52人,強盗致傷等について68人)が見られるが,これらも多くは保護的措置が採られるか別件保護中に係るものであり,非行無しを理由とするものは強盗について1件あるにすぎない。また,3罪名共にわずかに見られる審判不開始についても,保護的措置が採られるか別件保護中に係るものがほとんどであり,事案軽微又は非行無しを理由とするものは見当たらない。
III-20表 凶悪事犯に係る少年保護事件の家庭裁判所終局処理内容別人員(平成6年)
III-21表 凶悪事犯に係る少年保護事件の保護処分の内容別人員(平成6年)