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 平成 8年版 犯罪白書 第1編/第4章 

第4章 オウム真理教関係者による犯罪

 平成7年1月17日未明突如として起こった都市直下型の阪神・淡路大震災は関東大震災以来の大災害となったが,その衝撃に追い打ちをかけるように,3月20日,首都圏地下鉄3路線の車内において猛毒ガスサリンによる無差別テロ事件が発生した。サリン発散という,世界的にも前例のない手段によるテロ事件が,世界で最も治安が良い国の一つとされる我が国で起こったことは,全世界に強い衝撃と関心を呼び起こした。上記事件を敢行したとされる宗教法人「オウム真理教」(以下,単に「教団」という。)に対しては,事件の後,捜査の手が入り,教団代表者・幹部を含む多数の教団関係者が次々に逮捕・起訴され,これらの裁判の多くが今なお係属中である。
 以下,事犯の概要(ただし,多くの裁判が係属中であることから,事実の記載内容は,検察官の主張に係る起訴状の公訴事実及び冒頭陳述に依拠しており,真相はなお裁判の確定まで待つ必要がある。),上記事件を契機として制定された新しい法令,及び教団の今後の活動を阻止するために,刑事司法手続とは別に国又は地方公共団体が採った措置について,順次概観する。