本節では,外務省を通じて入手した資料に基づき,アジア諸国のうち,インド,タイ,シンガポール,マレイシア,フィリピン及び香港の各国・地域における薬物犯罪取締りの現行法令を概観する。
言うまでもなく,規制対象薬物の分類,違反態様の定義,罰則等は各国ごとに異なるため,それらを単純に比較することは必ずしも適切とはいえず,また,何種類もの取締法令を有する国があって,ここではそのうち主要なものだけを紹介するにとどまるが,これらアジア諸国における薬物問題の位置付けを知る上で,なお参考になるものと考える。
ここで取り上げた,各国・地域における薬物取締りの主要法令は,次のとおりである。
- [1] インド
- 「麻薬及び向精神薬取締法」(Th Narcotic Drugs and Psychotropic Substances Act)
- [2] タイ
- 「麻薬法」(Narcotics Act)
- [3] シンガポール
- 「薬物濫用法」(Misuse of Drugs Act)
- [4] マレイシア
- 「危険薬物法」(Dangerous Drugs Act)
- [5] フィリピン
- 「危険薬物法」(The DangerousDrugs Act)
- [6] 香港
- 「危険薬物法」(Dangerous Drugs Ord inance)