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3 取締り及び処罰の状況 IV-55表は,1989年から1993年までの5年間における主要薬物押収量の推移及び1984年(10年前)との対比を見たものである。メタンフェタミンの押収量は,1990年以降減少していたが,1993年には再び増加している。大麻草については1990年,けし及び大麻については1991年に押収量が減少したが,いずれも1992年以降再び増加している。生あへんについては1992年に減少したが,1993年には大幅に増加している。ヘロインとコカインについては1992年以降急増している。メタンフェタミンを除き,どの薬物も10年前(1984年)と比べて1993年における押収量は増加している。
IV-55表 主要薬物押収量 IV-48図は,1984年から1993年までの10年間における麻薬類事犯検挙人員の推移を罪名別に見たものである。1988年まで増加を続けていた麻薬類事犯は,1989年以降増減を繰り返して推移していたものの,1993年には前年(2,968人)と比べて2.3倍と急激に増加して,6,773人になっている。そのうち,麻薬事犯では3,364人(49.7%),向精神性医薬品事犯では1,900人(28.1%),大麻事犯では1,509人(22.3%)がそれぞれ増加しており,特に麻薬事犯における増加が著しい。IV-48図 麻薬類事犯の罪名別検挙人員の推移韓国(1984年〜1993年) これを年齢層別に見ると,麻薬事犯では50歳以上が76.4%を占めており,これは,けしの不法栽培を行うのがこの年齢層に多いためとされている。向精神性医薬品事犯では20歳代・30歳代が68.1%を占めており,10歳代が1.3%と少ないのは,品薄による高価格で,入手が困難なためとされている。大麻事犯では10歳代・20歳代が49.3%を占めており,これは,大麻が比較的低価格で,入手が容易であり,青少年層が近づきやすいためとされている。麻薬類事犯検挙人員に占める女子の比率は,1987年以降上昇傾向にあり,1993年には34.3%を占めている。これを罪名別に見ると,麻薬事犯では56.5%,向精神性医薬品事犯では14.6%,大麻事犯では9.5%となっている。 有害化学物質管理法による取締りの対象であるシンナー等の幻覚物質吸入事犯の検挙人員を年齢層別に見ると,10歳代の者が圧倒的に多く,1993年における検挙人員4,994人のうち,19歳以下が80.5%を占めている。1989年から1993年までの5年間における幻覚物質吸入事犯の検挙人員については,増加傾向とともに,濫用者の低年齢化傾向が指摘されている。検挙人員に占める女子の比率は上昇傾向を示し,1989年の5.5%から,1993年には,14.5%にまで上昇している。 IV-49図は,麻薬類事犯に対する検察庁の処理状況について,1993年における処理区分別の構成比を見たものである。起訴率を見ると,大麻事犯が76.0%と最も高く,次いで,向精神性医薬品事犯が74.1%,麻薬事犯が16,8%の順となっている。また,起訴猶予率を見ると,麻薬事犯が81.5%と最も高く,次いで,大麻事犯が10.8%,向精神性医薬品事犯が2.8%の順となっている。麻薬事犯の起訴猶予率が高いのは,高齢女性のけし不法栽培行為に対する検察の寛大な処理によるものとされている。 IV-49図 麻薬類事犯に対する検察庁の処理区分別構成比 IV-56表は,麻薬類事犯に対する第一審公判事件処理人員を1988年から1992年までの5年間にわたって見たものである。執行猶予率は,麻薬事犯が最も高く,次いで,大麻事犯,向精神性医薬品事犯の順となっており,1992年の執行猶予率は,それぞれ81.2%,69.1%,34.2%である。IV-56表 麻薬類事犯に対する第一審公判事件処理人員 |