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 平成 7年版 犯罪白書 第4編/第9章/第4節/2 

2 取締り及び処罰の状況

 IV-51表は,1984年及び1989年から1993年までの,主要な規制対象薬物の押収量の推移を示したものである。1993年に押収された薬物名を見ると,大麻(herbe,r6sine,huile)が約4万5,783kgで最も多く,次いで,コカイン(約1,715kg),ヘロイン(約386kg)等の順となっているが,ここ数年,大麻樹脂(re′sine)及びLSDの押収量の増加が目立っている。
 1V-47図は,1988年から1993年までの,フランスにおける薬物犯罪の認知件数,検挙人員及び発生率(認知件数の人口10万人当たりの比率)の推移を示したものである。1988年以降の数値を取り上げたのは,この年に犯罪統計数値の数え方が変更され,それ以前の数値と整合性がなくなったことによる。薬物犯罪の認知件数及び検挙人員は,1988年以降いずれも増加していたが,1993年のそれは共に減少し,検挙件数6万4,841件,検挙人員5万9,852人となっている。また,発生率は,1988年の85.8から1993年の112.7へと上昇しており,フランスにおける薬物犯罪は,おおむね増加傾向にあるといえる。

IV-51表 主要薬物押収量

IV-47図 薬物犯罪の認知件数・検挙人員・発生率の推移フランス(1988年〜1993年)

 IV-52表は,1988年から1993年までの,薬物犯罪の違反態様別検挙人員について,総数と女子・少年・外国人の内数を見たものである。1993年の薬物犯罪の違反態様別検挙人員は,「使用(usage)」が3万6,564人で最も多く,薬物犯罪検挙人員総数の61.1%を占め,次いで,「自己使用目的者への譲渡し(usage-revente)」が1万1,234人(総数の18.8%),「取引(trafic)」が1万679人(同17.8%)となっている。同年の薬物犯罪検挙人員に占める女子の比率は11.6%で,少年比は5.9%,外国人比は18.5%となっているが,違反態様別で見ると,「取引」に占める外国人比の高さが注目される。

IV-52表 薬物犯罪の態様別検挙人員

 IV-53表は,1984年及び1989年から1993年までの,薬物犯罪で有罪判決を受けた人員について,違反態様別人員とその構成比を見たものである。1993年の有罪人員総数は2万2,579人で,そのうち所持・取得(de′tention/acqui-sition)が8,197人で最も多く,次いで,薬物の使用(usage1111cite)が7,689人,取引が2,281人,輸出入・他人への使用・運搬(commerce/emp1oi/transport)が2,138人,自己使用目的者への譲渡し・提供(offre/cession)が2,035人の順となっている。

IV-53表 薬物犯罪で有罪判決を受けた人員