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 平成 7年版 犯罪白書 第4編/第9章/第3節/1 

第3節 ドイツ

1 法令による規制の概要

 ドイツ(1990年10月3日のドイツ統一以前についての記述には,ドイツ民主共和国を含まない。)においては,1960年代後半に薬物犯罪が激増し,1968年まで1,000件台であった薬物犯罪検挙件数は,1970年には一挙に1万件台となった。そこで,あへん法(Opiumgesetz)を改正し,麻酔剤の取引きに関する法律(GesetzuberdenVerkehrmitBetaubungsmitteln,以下「麻薬法」という。)を1972年1月10日に公布した。しかしながら,薬物犯罪は衰えを見せず,特にヘロイン使用による多数の死者が出た。そこで,さらに,重大な犯罪に対する重罰化,訴追や刑の免除等の規定を盛り込んだ同法の大幅な改正を行い(1982年1月1日施行),以後数回の改正を経て,現在に至っている。
 IV-44表は,麻薬法1条で定義している規制対象薬物の種類を見たものである。また,同条では,ある物質の依存性が確認できるなど,必要が生ずれば,連邦参議院の同意の下に,連邦政府の法規命令(Rechtsverordnung)により,新たに規制対象薬物に指定することができるとしている。

IV-44表 麻薬法で定義されている規制薬物の種類

 IV-45表は,麻薬法における主な薬物犯罪に対する罰則について見たものである。いわゆる自己使用に関する罰則はなく,また,専ら自己使用のためにする,少量の規制対象薬物の栽培,輸出入,所持等に関しては,刑の免除規定(29条)や訴追の免除規定(31条a)を設けている。これに対し,無許可で少量でない規制対象薬物を輸入した場合,無許可で21歳以上の者が18歳未満の者に規制対象薬物を職業的に譲渡等した場合,規制対象薬物の栽培や製造等を継続的に行うために結成された団体の構成員として無許可でこれらの行為を行った場合等については,罰則を加重している。

IV-45表 主要な薬物犯罪の罰則

 なお,1992年に施行された「不法な麻薬取引その他の組織犯罪対策法」(GesetzzurBekampfungdesillegalenRauschgifthandelsundanderer ErschheinungsformenderOrganisiertenKriminalitat)に基づき一部改正された刑法261条において,薬物犯罪に係るマネー・ローンダリングに関する罰則が規定されている。